米財務長官、ステーブルコインのリスクを語る
米国のジャネット・イエレン財務長官は12日、ステーブルコイン市場は非常に急速に成長しているが、まだ米国の金融システム全体にリスクをもたらす規模には達していないと述べた。
イエレン氏は、下院金融サービス委員会の公聴会に出席し、金融安定化監視委員会の年次報告書からいくつか論点を挙げた。この報告書は米国の金融安定性について潜在的なリスクを評価するものだ。
その中で、暗号資産(仮想通貨)などデジタル資産に関しては「新しい製品や技術がイノベーションを促進し、効率性を向上させる機会を提供する可能性がある」一方で、金融システムにリスクをもたらす可能性があるため、規制を広げていくことが重要だとした。
特に、決済用ステーブルコインについては、包括的な規制枠組みの対象にしていきたいという。
公聴会の席で、ジム・ハイムズ議員は、ステーブルコインがシステミックリスク(システム全体に波及するようなリスク)をもたらすようになる時期について、イエレン氏に質問した。
これを受けてイエレン氏は、次のように回答した。
(ステーブルコイン市場は)金融安定性について懸念がある規模に達しているとは言えないが、テラが米ドルからのディペッグを起こし(1ドルの価値を保てなくなり)、テザーも同様の圧力を受けている状況だ。
こうした現在の規模では、金融安定性に対する本当の脅威とは言えないが、ステーブルコイン市場は非常に急速に成長していることも確かで、従来の取り付け騒ぎと同じような種類のリスクを示している。
ステーブルコインとは
ステーブルコインは暗号資産の一種で、BTCやETH、XRPなど変動性のある資産とは異なり、米ドルなどに裏付けられその価値($1)を保つことが目的だ。米ドルの裏付けによるステーブルコイン(USDT・USDC)のほか、DAIやUSTといったアルゴリズムを利用するステーブルコインもある。
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ステーブルコインUSTの下落が背景に
このやり取りの背景には、無担保型ステーブルコインTerraUSD(UST)が8日より下落を始め、記事執筆時現在で約0.42ドルと、米ドル価格から大きく乖離している経緯がある。
イエレン氏も言及するように、ステーブルコインへの懸念が広がったことにより、担保型ステーブルコインのテザー(USDT)も一時0.94ドル付近まで下落した。現在は持ち直している。
USTは、テラ(LUNA)の売買に応じて新規トークンをバーン(焼却)・発行することで米ドルへの連動を維持していた、無担保型のステーブルコインだ。
イエレン氏は10日に上院銀行委員会でも、この件について言及しており、金融安定性や決済システム、市場の完全性への影響等のリスクに言及し、ステーブルコインの法制化は急を要すると述べていた。
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