仮想通貨市況
11日のニューヨーク株式市場は、ダウ平均株価が前日比325.63ドル(1.02%)安、ナスダック総合指数が前日比373.44ドル(3.18%)安と大幅続落した。
インフレを抑えるための金融引き締めの加速が懸念される中、11日夜に発表された4月の「米消費者物価指数(CPI)」が市場予想より高止まりしたことが背景にある。
パウエル議長は6月と7月の大幅利上げを示唆しており、リセッション(景気後退)への警戒感が強まっている。
暗号資産(仮想通貨)市場では、ビットコインが前日比8.6%安の377万円(ドル)と大幅安に。
BTCはついに昨年最安値を底割れ、20年12月以来の水準となる27,682ドルまで下落した。
足元は明確に売られすぎ水準にあるものの、米株市場は依然高値圏にあるとの見方もある。市場のリスクオフは、FRB(米連邦準備制度)の金融引き締めに端を発していることから、上昇の続く米長期金利や高止まりするインフレ指数が落ち着かない限り、さらなるダウンサイドリスクが懸念されるだろう。
ビットコイン(BTC)の次の主要サポートラインは2017年の最高値である20,000ドル付近とやや離れた位置にあり、ネガティブな材料相次ぐアルトコイン市場もパニック売りの様相を呈するなど市況感は悪化する一方だ。
ビットコインが6連続で週足陰線を付けるのは、2014年以来8年ぶり。
大幅続落の背景としては、ナスダックなど米主要株価指数の大幅下落に伴うセンチメントの悪化と、Terraform Labsが発行するアルゴリズム(無担保)型ステーブルコインの「UST(TerraUSD)」の影響が挙げられる。ステーブルコインの役割として機能すべき米ドルと1:1の価値を外れ(depeg)、USTが激しく乱高下したことが市場の動揺を誘った。
ステーブルコインとして第3位の規模にまで成長したUSTと価格維持アルゴリズムの仕組み上密接な関係にあるLUNAはデススパイラルに陥り、下落に歯止めが掛からず暴落。前日比-96.5%、前週比-99.2%に達した。
TerraformLabs(TFL)開発の主要レンディングプロトコル「Anchor Protocol」など、DeFi(分散型金融)市場における信用不安も市場心理の悪化に拍車をかけた。
TFLがDeFiプロジェクト「Curve」の流動性プールからUSTの流動性が抜いたタイミングと前後して、特定の大口ウォレットがUSTの大量売却を行ったことが確認されており、組織的なdump(相場操縦行為)や機関投資家の関与を疑う声もあがった。
関連:無担保型ステーブルコイン 「TerraUSD」が対米ドルで一時前日比40%下落
USTを預け入れたユーザーに高利回りを提供してきたAnchorは11日、「テラのペグ復元のための緊急措置」として、APR(年換算利回り)の大幅引き下げを発表した。
分散型金融のAnchorでは短期間で預かり金が激減し、銀行の取り付け騒ぎ(信用危機)のような事態に発展していた。緊急措置を講じ、リザーブ資金枯渇の影響でTFLがUSTを追加する必要がなくなることで、デペグのデス・スパイラルの抑止につなげる目的がある。
大手暗号資産取引所Huobiの研究部門であるHuobi Research Instituteのアナリスト2名は、新たに発表した市況レポートで「まだ相場の底には達していない」と結論付けた。
実現利益と損失の差を測定する「純未実現利益/損失(NUPL:Net Unrealized Profit/Loss)」を基にした分析を根拠に、「バリュー投資をするのであれば、買いを控えるべき」と指摘している。
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