ビットコインの「底入れシグナル」に慎重論、米株指数は大幅下落
仮想通貨市況
9日の米株式市場では、ダウが前日比638.11ドル(1.9%)安、ナスダックが前日比332.05ドル(2.75%)安と大幅下落した。
欧州中央銀行(ECB)による量的緩和の終了と0.25%の利上げ方針決定が伝わり、世界的な経済減速とインフレ長期化への懸念が強まった。本日夜に5月の米消費者物価指数(CPI)発表を控え、買いが入りにくい局面と言えそうだ。
暗号資産(仮想通貨)市場では、ビットコインは前日比1.64%安の398万円(29,970ドル)と下落した。
今年に入ってから金融市場の不確実性は高まる一方であり、この先の相場環境について慎重論も根強い。
Rekt Capital(@rektcapital)氏は、50週平均移動線(EMA)を超えた場合は強気トレンド、200週平均移動線(EMA)まで大幅下落した場合は底打ちシグナルとなり得るとの見解を示した。
過去の歴史を参照すると、「相場の大底と言える判断基準は、少なくとも50EMAから-100%以上乖離して形成される傾向にある」と指摘。現在のローカルボトムは-66%に過ぎず、さらなる下値余地があるとした。
50EMAの-100%水準は1BTC=20,000ドルに相当し、強いサポートライン(下値支持線)に重なる価格帯である。
同じく海外の著名アナリストであるil Capo Of Crypto(@CryptoCapo_)氏も一貫して下目線だ。22年4月23日に1BTC=41,378ドルで推移していた段階で、長期トレンドライン割れから21,000ドル台まで半減するシナリオを予想しており、現時点ではほぼシナリオ通りに推移している。
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CryptoQuantに投稿したEdris氏は、オンチェーンデータの「MVRV比率」から相場の底を分析した。
MVRV比率は、ビットコイン時価総額を実現キャップで割って計算されるもので、強気相場の天井圏と弱気相場の底値圏を示す指標の1つ。算式は(市場時価総額:MV-実現時価総額:RV)/MVを用いる。プラス圏は「オーバーバリュー(割高圏)」、1.0以下のマイナス圏は機関投資家のスマートマネーが流入・蓄積されやすい「アンダーバリュー(割安圏)」を示す。
現在のMVRVは1.3ほどであるが、過去の暴落局面におけるMVRV反転シグナルは、以下の通りだった。
- 2020/03/12:コロナ・ショック
- 2018/12/14:バブル崩壊、BCHのハッシュ戦争
- 2015/01/14:Mt.Gox事件後に低迷
MVRV0.85(未実現利益-15%の損失)
MVRV0.69(未実現利益-31%の損失)
MVRV0.58(未実現利益-42%の損失)
ドミナンスの推移は
市場占有率を示すビットコイン・ドミナンス(BTC.D)は8日、21年5月以来となる年初来高値の47.7%まで上昇した。
週足における強気のダイバージェンスも指摘されていた。レジスタンスの48.3%をブレイクすれば、アルト市場からの資金抜けとビットコインへの資金集中が強まる可能性がある。
ビットコイン建てのETH/BTCで見るとより明白で、2018〜2019年の弱気相場と似たような推移を辿りつつあるようにも見受けられ、相場環境の好転が待たれるところだ。
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