Bitfinexとテザー社、人材雇用継続の方針を示す
「仮想通貨の冬」でも採用を継続
暗号資産(仮想通貨)取引所Bitfinexと、ステーブルコインUSDTなどの発行企業テザー社は、今後も人材採用を行っていく計画だ。コインポストの提携メディアThe Blockが20日に報道した。
仮想通貨市場停滞の中、人員削減に踏み切る企業が増えているが、Bitfinexとテザー社はこれからもより多くのスタッフを雇うことを検討していると述べた。なお、両社は親会社(iFinex)を同じくしているという。
ステーブルコインとは
価格が常に安定している(stable)仮想通貨を指す。ステーブルコインは暗号資産の一種で、BTCやETH、XRPなど変動性のある資産とは異なり、米ドルなどに裏付けられその価値($1)を保つことが目的だ。米ドルの裏付けによるステーブルコイン(USDT・USDC)のほか、DAIやUSTといったアルゴリズムを利用するステーブルコインもある。
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BitfinexのClaudia Lagorio最高執行責任者(COO)は、次のように話した。
当社は、慎重かつ計画的に、人材やリソースを獲得するための投資を続けている。様々なキャリアを募集しており、採用計画はそのまま継続している。
Bitfinexは、「人員を急激に拡大して、その後仮想通貨の冬(市場停滞期)を迎えた時にスタッフを削減する」というようなことは、これまでしていない。
Lagorio氏によると、Bitfinexは利益を上げており、これからも必要に応じて才能を雇い続ける予定だという。
Bitfinexの姉妹会社テザー社の広報担当者も、次のように語った。
当社は利益を上げており、我々の事業をサポートする重要な役割のために雇用を継続する予定だ。当社は、従業員と彼らの将来を気にかけている。我々は、過去に起きた仮想通貨の冬の間でさえ、スタッフの数を減らしたことがなく、これからもそうするつもりはない。
Lagorio氏によると、現在Bitfinexとテザー社の総人員数は250人である(そのうちテザー社に50人)。
Bybitは人員削減へ
一方で、660人以上の従業員を擁する仮想通貨取引所Bybitは、人員削減する予定である。
報道によると、Ben Zhou CEOは、同社スタッフへのメールの中で背景を次のように説明していた。
当社の組織規模は急激に拡大していたが、事業全体の成長は同じようにはいかなかった。
最新の見直しによると、内部の効率性は依然として、Bybitが抱えている最大の問題であることがわかった。つまり、会社のサイズが大きくなっているにもかかわらず、業務効率が悪くなっている。急成長しているリソースを適切に活用できていないことは明らかだ。
メールは、Bybitが2020年始めに「数百人」を雇用し、急速にスタッフの数を増やしていたことにも言及している。なお、Bybitの広報担当者は、このメールが本物かどうかについてはコメントしていない。
企業により方針分かれる
仮想通貨業界では現在、人員削減を行う企業と行わない企業に分かれている。
コインベース、ジェミナイ、BitMEX、Crypto.com、BlockFiなどの企業はすべて、人員削減の動きを見せている。
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一方で、最大手仮想通貨取引所バイナンスは欧州や中東でも事業拡大を進めている。同社のCZ CEOは15日、世界で2,000人を採用する予定だとツイートした。
また、仮想通貨取引所Krakenも500人以上の増員計画を発表。Polygonも、積極的に雇用していく方針を示した。
その他、FTXのSam Bankman-Fried CEOは、「採用を凍結する予定はない」として「他の企業が人員削減を行う中、FTXが成長を続けていく理由」と題した一連のツイートを行った。同氏は次のように述べている。
当社は慎重に採用してきたからこそ、市場の状況に左右されずに成長を続けることができた。経費ではなく、収益と生産性を指数関数的に拡大してきた。
重要なのは、当社が採用する一人ひとりの人材が、大きなチャンスと大きな責任を担っているということだ。
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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します