再建中のVoyagerが緊急公聴会、クレカの使用許可を得る
クレカの使用許可
連邦破産法第11条の適用を申請していた暗号資産(仮想通貨)投資プラットフォームVoyager Digitalについて、緊急公聴会が19日に開かれた。
Voyagerが取引先への支払いに使用する「コーポレートカード」の支払いが許可された一方で、裁判官からは要請内容について批判を受ける一幕があった。Michael Wiles判事は「救済要求にしては深刻な必要性を欠いている」として以下のように述べている。
多くの点で基準を満たしていないため、今回の申し立てにはノーと言いたいところだ。実際に損害を示すのではなく、曖昧な混乱が起こるかもしれないという仮定に過ぎない。これでは不十分だ。今後こうした要求について、より明確な証拠を示すことを期待する。
Voyager社の法律顧問を務めるKirkland & EllisのChristine Okike氏によると、Voyagerは取引先への支払いにBREXコーポレートカードを使用して毎月約4,000万円(30万ドル)を支払ってきた。しかし、破産申請後に未払いの催促状が届きカードが停止、最終的に約1,000万円(76,000ドル)の残高を使った支払い後にカードを復活することでBREX社が合意したという。コーポレートカードは企業向けのクレジットカードである。
こうした事情についてWiles判事は、Voygaerが別の支払い方法を模索したり、与信枠を開くための努力を怠ったと指摘した。全体の破産額に対しては少額であるため、破産手続きを監督する連邦管財官が要求を拒否していなかったこともあり、結果的にWiles氏はこの申し立てを認めたが、「救済の申し立ては即時かつ回復不能な損害を防ぐために使用するもの」と釘を刺した。
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Voyagerの再編プロセス
Voyager Digitalは高い年利を謡い、投資家に仮想通貨を預けさせる一方で、仮想通貨マーケットメーカー会社に資産を貸し出して金利を稼いできた。しかし、ヘッジファンドのThree Arrows Capital(3AC)の破綻により多額の不良債権を抱えて米連邦破産法11条の適用を申請していた。
第11条の適用により、Voyagerは事業再編に取り組みながら業務を継続できる。しかし、「これ以上顧客資産の出金に応じない場合、事業再編中に顧客の士気を著しく損なう恐れがある」として、現在は停止している顧客資産の出金許可を、裁判所に求めている。
破産申告書によると、Voyagerはプラットフォーム上に残された保有資産について約1,800億円(13億ドル)の仮想通貨とメトロポリタン商業銀行(MCB)に保管された3億5,000万ドルの米ドル、そして3ACの不良債権となった約900億円(6.5億ドル)強と報告している。
裁判所は個別の目的に応じた救済措置について検討し、Voyagerの顧客対応について順次許可する。8月4日には、3億5,000万ドルの米ドルの出金対応に関する公聴会が予定されている。
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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します