EUがロシアに追加制裁、仮想通貨に対する措置も強化
金額に関わらず仮想通貨サービスを禁止
欧州連合(EU)は6日、ウクライナ侵攻を背景としたロシアへの制裁について8回目の追加措置を発表した。暗号資産(仮想通貨)に対する制裁も強化している。
この措置は、ロシアが「偽りの住民投票に基づくウクライナ領土の併合を行おうとしていること」や「追加軍を動員したこと」などを受けたものだ。
背景として、ウクライナでは9月27日に、ロシアが支配する4州で住民投票が完了していた。ロシアへこの地域を編入することへの賛成票が99%以上とされている。その後ロシア上院は4日、4州を併合する条約を批准する法案を可決したところだ。
仮想通貨に関しては、金額にかかわらず、ウォレット、アカウント、カストディサービスのすべてが禁止されることになった。これまで、これらのサービスについて約140万円(1万ユーロ)までは制裁対象から外れていたが、今回金額的な条件は撤廃された形だ。
カストディとは
仮想通貨以外の資産にも広く使われる用語。資産の保管や売買に係る決済、また元利金・配当金の受領や議決権行使など、幅広い業務を代行するサービスを指す。カストディを行う企業を「カストディアン」と呼ぶ。
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その他の追加措置
一連の追加措置でEUは、制裁回避を助長する人物も制裁リストに加えることができるようにしている。また、制裁リストに新たな個人や団体を追加し、輸出入規制も強化した。
さらに、ロシア政府やロシア企業へ提供できないサービスの範囲を拡大し、ITコンサルタント、法律顧問、建築、エンジニアリングサービスを含めた。ロシアはこうしたサービスについて輸入に大きく依存しており、ロシアの産業力を弱める狙いがある。
石油輸出については、価格が設定された上限内に収まる限り、欧州の事業者が、ロシアの原油の第三国への輸送を引き受けたり、支援することができるようにする計画である。
EUは、上限によりロシアの収入を減少させる一方で、ロシア産原油供給の継続により世界のエネルギー市場の安定を保つことや、インフレ対策につながると説明した。この措置については現在、EUがG7と協議しているところで、EU理事会でのさらなる決定を経てから発効する見込みだ。
EUは、対露制裁はロシアの兵器製造や物資輸送を抑制しており「効果的であることが証明されている」としつつ、「制裁がロシアから第三国へのエネルギーや農産物の輸出に影響を与えないよう、引き続き配慮している」と述べた。
EUの他にG7も1日、ロシアへ追加制裁を科す意向を表明している。
仮想通貨業界の対応事例
ウクライナ侵攻以降、仮想通貨業界でもロシア制裁へ対応する動きが続いている。
大手仮想通貨取引所バイナンスは4月、戦争が始まってからロシア高官の親族に関連する複数の口座を閉鎖してきたと発表した。バイナンスはロシア在住者などの取引口座の活動も一部制限している。また、人道支援のためウクライナに約13億円以上を寄付した。
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SBIホールディングスも、ロシアのビットコイン(BTC)マイニング企業BitRiver(ビットリバー)との取引を終了した。ビットリバーについては、米財務省が「ロシアの天然資源収益化に貢献」しているとして制裁対象に指定した経緯がある。
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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します