制裁対応でロシア高官関連の口座を閉鎖
大手暗号資産(仮想通貨)取引所バイナンスは26日、ロシアのウクライナ侵攻に関する制裁対応についてのブログ記事を発表。戦争が始まってから、ロシア高官の親族に関連する複数の口座を閉鎖してきたと発表した。
具体的には、ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相の娘ポリーナ・コヴァレワ氏、ドミトリー・ペスコフ報道官の娘エリザヴェータ・ペスコヴァ氏、制裁回避で米司法省に起訴されたオリガルヒ(新興財閥)コンスタンチン・マロフェーエフの息子キリル・マロフェーエフ氏の名前を挙げている。
バイナンスは3月3日、ペスコヴァ氏が第三者の仲介業者を通じてバイナンスを利用しようとした際にブロックしたと報じられる。これは同氏が米財務省から制裁対象として指定される前のことであった。また、コヴァレワ氏とマロフェーエフ氏のアカウントも停止された。
バイナンスの制裁担当グローバル責任者、チャグリ・ポイラズ氏によれば、同取引所は、制裁対象者に関連する人物がサービスを利用していないか、さらに調査を続けているという。また、ある個人や組織に対して法的措置がとられる前に、金融犯罪のリスクを検知して措置を取るシステムを採用しているとした。
ロシアへの制裁に関する対応
バイナンスは21日、欧州連合(EU)のロシア政府に対する経済制裁に準拠して、ロシア在住者などの取引口座を一部制限する方針を発表している。
約140万円以上の仮想通貨を保有する制限対象ユーザーは、資金引き出しのみが可能となった格好だ。
関連:バイナンス、ロシア人ユーザーの仮想通貨取引口座を一部制限へ
また、バイナンスは同取引所が「ロシア当局に顧客データを共有することに合意していた」というロイター通信の報道を強く否定し、正式に異議を申し立てている。
関連:バイナンス、「顧客データを露政府に渡すことに合意した」とする報道を否定
バイナンスは、人道支援のためウクライナに約13億円(1,000万ドル)以上を寄付したことも公表した。
セキュリティに関する新たな人事も
バイナンスはその他セキュリティ対応に関しても、新たな人事を発表したところだ。
FINRAで16年間勤務していたことのあるセス・レヴィ氏を市場監視責任者として採用。レヴィ氏は、仮想通貨取引に関連するリスクに対処するための監視インフラ構築と、監視の実施を主導していくという。バイナンスのユーザーを詐欺や不正行為から保護することにつながる職務である。
レヴィ氏は、FINRAで市場規制部門の取引分析シニアディレクターとして、株式市場監視体制の設計と実施、不正行為の調査、法的遵守状況の調査などを行っていた。
また、金融大手CitadelとCitadel Securitiesで市場監視のグローバル責任者を務め、様々な金融商品のグローバルな監視機能の設計、管理などを担当していた。