仙台市、日本政府に仮想通貨の課税緩和など「Web3規制改革案」を提出

仮想通貨保有の規制緩和を要望

国家戦略特区の宮城県仙台市は19日、Web3に関連する3つの規制改革パッケージを提案した。暗号資産(仮想通貨)やDAO(分散型自律組織)に関する規制緩和を求めた。

仙台市は東北地方で唯一の政令指定都市であり、人口100万人を超える。今回の提案では、規制改革する意義を以下のように説明した。

Web3.0ビジネスにチャレンジしやすい環境を整備し、 新たなデジタル経済圏を生み出すことにより、新しい資本主義の実現に資するイノベーションの創出を図る。

現状の課題

今回の提案で仙台市は、ガバナンストークンの取得・保有を一定の条件で認める条項やDAOの規制緩和、また納税基準の明確化を要求。ボトルネックとなっている規制を緩和することで、国内にWeb3領域での新たなビジネスチャンスの創出を図る。

  • トークンに係る税務・会計基準の明確化
  • DAOの法制化及び既存規制の緩和
  • 投資ビークルの規制緩和

1点目については、ガバナンストークンの長期保有に対して期末時価評価課税が課される点や会計基準の不明確性を課題視。基準が定まっていないため、株式上場ができないため、ビジネスの可能性を狭めていると述べた。

また、DAOに関する法整備が行き届いていないと指摘。成員の有限責任や各種の登録が必要となっているため、新たな組織体系を認めるべきだとした。

また、現行法ではLPS(投資事業有限責任組合)はガバナンストークンの取得と保有が認められていないと説明。暗号資交換業の登録には多くのリソースがかかるため、スピーディな資金調達が難しい状況だと提言している。

仙台市の提案

このような課題を解決するため、仙台市は以下の現行法を改革するよう提案した。

  • 自社保有・投機目的以外で保有するガバナンストークンは売買等により実際に収益が発生した時点でのみ課税する
  • 会計処理についても同様の取り扱いをする
  • 米ワイオミング州のDAO法を参考にしたルール整備の検討
  • 認定LPSにおける認定事業体のガバナンストークン取得・保有を認可
  • 認定事業体の暗号資産交換業登録の不要化(福岡市と同様の提案)

東北唯一の独立系VCや「みちのくDAO」の発起人として、仙台市の特区検討に助言したスパークル株式会社の福留 秀基代表取締役は今回の提案が実現した場合のメリットを以下のように解説した。

(最大のメリットは)みちのくDAO内で検討されているプロジェクトのDAO化を促しやすくなったことです。

現在様々なプロジェクトが東北の中でも検討されていますが、どうしてもトレジャリーの置き場所(法人・個人)とその分配方法の設計が法的に難しく、本来のDAOとしての機能(DAO化)が出来ていない状態でした。

今回の特区提案が通れば、みちのくDAOのプロジェクト推進は勿論のこと、他のDAOのトレジャリーを仙台に設置して実施出来るようになるため、日本のDAOでのプロジェクトを加速させられることになると考えております。

また、すでに仙台エリアで拠点を置きたいDAOからの問い合わせもあると述べ、注目度が集まっているとした。

先行事例として挙げられた米ワイオミング州、は21年7月からDAOを法人(LLC)として認可するシステムを施行。福留氏は「法人格を有することができること、有限責任性とパススルー税制が特に魅力的」だとコメント。

同州のDAO法に精通されている弁護士と意見交換を実施しながら日本法に適応した法整備を提案したと説明した。

関連:米ワイオミング州、自律分散型組織(DAO)の法人化法案が成立

国家戦略特区の仮想通貨動向

国家戦略特区は、国家の成長戦略を支える岩盤規制の改革に突破口を開くことが目的の規制改革制度。日本政府が「世界で一番ビジネスをしやすい環境」を構築するために2013年に制定した仕組みだ。

東京都や愛知県、福岡市、仙台市など10の区域が設けられている。

仙台市とともに国家戦略特区の福岡市は、5月末に企業の仮想通貨保有に対する規制緩和を求める提案書を日本政府に提出した経緯がある。

また、福岡市の高島市長は今年8月、米サンフランシスコを訪れた際にリップル社HQを訪問。アスタージャパンラボにも自治体としては初の参加する方向で進んでおり、Web3業界を筆頭とするスタートアップ企業への肯定的な姿勢が目立つ。

関連:大手企業参加のアスタージャパンラボ、福岡市が参加へ

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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します

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