ビットコインのDeFi利用拡大を図る 米資産運用会社大手が支援プログラム発足
ビットコインのライトニング拡大へ
大手資産運用会社Stone Ridge Holdings Groupは26日、ライトニングネットワーク上で構築する企業支援を目的としたスタートアップ「Wolf’s Clothing」を設立した。
Wolfは米ニューヨーク市に拠点を置き、8週間のアクセラレータプログラムを実施。ライトニングや、ライトニング上のトークン発行技術「Taro」を用いたアイデアを持つ世界中のプロジェクトが応募可能。
WolfのKelly Brewster最高経営責任者(CEO)は、ライトニングネットワークに関係する初期段階の事業ならどこでも応募資格があると述べている。
過去1年間で、ライトニングネットワークはクリティカル・マス(ある商品やサービスの普及率が一気に跳ね上がるための分岐点)に達し、その成長はさらに加速し、分散型金融(DeFi)の未来を形作る革新と発展の波となると期待している。
ライトニングネットワークとは
ライトニングネットワークとは、ビットコイン上で展開する主要なセカンドレイヤーのオープンソースプロトコル。ブロックチェーン外で取引を行う「オフチェーン取引」を用いて、従来のBTCトランザクションより低コストで高速な少額決済を可能とする。
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10月25日には米決済企業Block(旧スクエア)が運営するモバイル決済アプリCash Appが、ライトニングネットワーク経由で暗号資産(仮想通貨)ビットコイン(BTC)を受け取れる機能をリリースした。
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アクセラレータプログラム
Wolf’s Clothingのアクセラレータプログラム(開発を加速する支援)について、初期審査を通過すると旅費の補償やシード資金(25万ドル)を受け取り、現地でマーケティング、ブランディング、エンジニアリング、セールス、規制、暗号技術、資金調達など、幅広い分野の専門家からアドバイスを受けられる。さらに、各プログラムの勝者は追加の75万ドルが授与される。
ビットコインを長年支援してきたVCやビットコイン開発会社、Stone Ridgeのパートナー企業もWolfに投資しており、プログラムにもメンターとして参加する。
Stone Ridgeの創業者兼CEOで、Wolfの創業者兼執行会長を務めるRoss Stevens氏はライトニングネットワーク上でステーブルコインを使用可能にするTaroのように、ビットコインの革新と進歩につながるプロジェクトの育成に熱意を示している。
もしあなた方が、世界をより分散化し、集権スキームを遠い記憶とするために努力を惜しまない意思があるならば、プログラムに参加してほしい。
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Stone Ridgeの子会社には、企業や機関投資家向けにビットコイン技術・投資サービスを提供するNYDIG(New York Digital Investment Group)がある。
NYDIGは22年2月に企業の従業員が給与の一部をビットコインで受け取り、貯金できるサービスを発表。6月には、さまざまな規模の企業がビットコインを導入することを促進するために、専門サービス大手デロイトと協業する旨を発表していた。
ビットコインDeFiの課題
DeFiとはブロックチェーン上に構築された金融サービス。金融取引は全てスマートコントラクトで処理される。そのポイントは、システムの様々な構成要素を相互に連携する構成可能性(コンポーザビリティ)である。特定の金融アプリに資産をロックして受け取った代替証を別の場所で運用するなどのユースケースは『DeFiレゴ』とも呼ばれる。
DeFiプロジェクトの大半はイーサリアム(ETH)や、イーサリアムと互換性のあるBNBチェーン(BNB)やアバランチ(AVAX)などのブロックチェーン上に構築されてきた。
ビットコイン保有者はBTCをイーサリアムチェーン用に施されたWrapped Bitcoin(WBTC)に変換して、上記チェーンでレンディングの担保やDEX(分散型取引所)のマーケットメイク(流動性提供)等に使用できる。執筆時点にWBTCの時価総額は7280億円(50億ドル)で仮想通貨市場18位にランクしている。
これらの系統とは別に、ビットコイン・ブロックチェーンに焦点を当てたDeFiシステムとしては、StacksやRootstock(RSK)、Sovryn等が立ち上がっている。しかし、各プロジェクト上で利用可能なdAppsが限られており、ユーザーと資本を集めるには至っていない。
主な要因としては実績不足が挙げられ、イーサリアム経済圏で膨大な取引量をクリアしたような信頼度の高いプログラムコード集がない事、各プラットフォームのセキュリティ上の脆弱性に対する懸念などが挙げられる。
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