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初心者でもわかる「ライトニングネットワーク」とは|特徴と仕組みを解説

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ライトニングネットワークとは

目次
  1. 概要
  2. ライトニングネットワークの仕組み
  3. 開発の背景
  4. ノードについて
  5. 具体的なユースケース
  6. 主な課題
  7. まとめ

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暗号資産(仮想通貨)のブロックチェーンは、以前から処理速度の遅さが課題の1つに挙げられています。ビットコイン(BTC)などのネットワークでは手数料が高く設定されている取引から先に処理されていくため、処理の遅延は手数料の高騰にもつながる可能性があります。

最近では、DeFi(分散型金融)やNFT(非代替性トークン)の需要増加などによってガス代(取引手数料)が高騰したこともあり、イーサリアム(ETH)の処理をサポートする技術の注目度も高まってきました。

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またビットコインも同様に、処理をサポートする技術の開発が以前から進められています。本記事では、ビットコインの取引をブロックチェーンの外部(=オフチェーン)で処理する技術「ライトニングネットワーク」をご紹介します。

概要

ライトニングネットワークとは主に、ビットコインのブロックチェーンにおける処理をサポートするための技術です。ビットコインのブロックチェーンだけでは処理に時間がかかったり、取引手数料の価格が上がってしまったりすることがあるため、負担を軽減するために、ライトニングネットワークの開発が進められています。

公式ウェブサイトでは、ライトニングネットワークを利用することのメリットとして、以下の4点を紹介しています。

  • 即時決済を実現
  • スケーラビリティ(拡張性)の向上
  • 低コストな取引を実現
  • 異なるブロックチェーン間の取引を実現
  • また、上記のように個別に紹介はされていませんが、もう1つライトニングネットワーク活用のメリットとして注目されているのが、1円以下でも送金できる「少額決済(マイクロペイメント)」の実現です。公式ウェブサイトでも、「低コストでの取引を実現」の説明欄で紹介しています。

    説明欄で紹介されている理由は、少額決済が、手数料を下げられないと有用性がないからです。実際の送金額よりも手数料の方が高ければ、ユーザーは利用したいとは思いません。

    なお、最初に「主に」ビットコインのブロックチェーンにおける処理をサポートする技術と書いたのは、ビットコインと同じ暗号学的ハッシュ関数を利用しているブロックチェーンであれば、ライトニングネットワークを利用できるためです。

    メリットの箇所で「異なるブロックチェーン間の取引を実現」と書いてあることも同様の理由です。ライトニングネットワークの技術が利用できる銘柄には、ライトコイン(LTC)やモナコイン(MONA)などがあります。

    では、ライトニングネットワークは、どのようにして上記のようなメリットを実現しているのでしょうか。次節では、ビットコインのブロックチェーンを交えて仕組みをご紹介していきます。

    ライトニングネットワークの仕組み

    ライトニングネットワークは、ビットコインのブロックチェーンの外部で取引を処理する技術です。処理を分散させることで、ビットコインブロックチェーンの負荷を軽減しています。

    送金を例にして、もう少し具体的に見ていきましょう。

    例えばAliceからBobにビットコインを1BTC送金するとします。この場合、ライトニングネットワークを利用すると、AliceとBobが送金できる経路が、ビットコインブロックチェーンの外部に構築されるように設計されてます。この経路のことを「チャネル」と呼びます。

    チャネルを開くにはあらかじめ、必要なビットコインを入金する必要があります。これは事前にチャージが必要なプリペイドカードの仕組みと同様です。事前に入金して、チャネルを開設できれば、入金額の上限の範囲で送金を実行できるようになります。

    1回の処理だけでは効果が実感しづらいかもしれませんが、AliceとBobの間で複数回送金された場合を想像してみてください。この場合、各送金はチャネルで処理され、最初と最後の送金結果だけがビットコインのブロックチェーンに記録される仕組みになっています。各チャネルに処理を分散させることで、メインチェーンの負荷を軽減しているのです。

    チャネルの開設と閉鎖には、AliceとBob両者の承認が必要になっています。技術的な表現をすると、両者の「署名」が必要です(=マルチシグ)。実際にはAliceとBobのようなチャネルがネットワーク上には数多く作られています。つまり、ライトニングネットワークは「チャネルの集合体である」と見ることもできます。

    ライトニングネットワーク上では仲介者を通して送金ができるため、間接的につながっていれば、改めてチャネルを開く必要はありません。例えば上記の例に加え、AliceがCarolに初めて送金する場合、BobとCarolの間にチャネルが作られていれば、AliceとCarolをつなぐチャネルを構築する必要はなく、Bobを経由して送金が可能です。

    開発の背景

    それでは、なぜビットコインはライトニングネットワークのような技術が必要なのでしょうか。続いて、2016年1月付のホワイトペーパーなどをもとにして、ライトニングネットワークが開発された背景をご紹介します。

    ビットコインの歴史は2008年10月、「Satoshi Nakamoto(サトシ・ナカモト)」と名乗る人物がインターネット上に「Bitcoin: A Peer-to-Peer Electronic Cash System」と題する論文を投稿したところから始まりました。

    それから約2か月後の2009年1月3日、ビットコインのジェネシスブロック(最初のブロック)が生成されています。論文のタイトルにあるように、ビットコインは電子決済システムとして考案されました。

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    一方で、ライトニングネットワークのホワイトペーパーでは、「ビットコインのブロックチェーンは近い将来、決済のプラットフォームとしては世界中の商取引に対応しきれなくなる」と課題を指摘。決済大手のVisaは1秒間に最大4万7,000件の取引を処理できるのに対し、ビットコインはおよそ7件の取引にとどまると説明しました。ホワイトペーパーのVisaのデータは、2013年の数値です。

    1秒間に処理できる数は一般的に「TPS(Transactions Per Second)」という単位で表されます。TPSの数だけ見ると、後発のブロックチェーンの方が優れており、例えば高速処理に定評のあるソラナ(SOL)のブロックチェーンは、本記事執筆時点で2,048の取引を処理。技術的には5万取引を処理できると言われています。

    出典:ソラナ

    参考:仮想通貨ソラナ(SOL)とは|注目ポイントと今後の将来性

    開発目的等に違いがあるため、必ずしもTPSが多ければブロックチェーンとして優れているとは言えませんが、ビットコインの処理能力では利用が増加した場合に、処理が滞ってしまうとホワイトペーパーで指摘しています。ビットコインはマイナーによって手数料の高い取引から処理が行われるため、処理の遅延は手数料の高騰につながる可能性が高くなります。

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    ブロックチェーンの処理能力を高めるにはブロックのサイズを拡大したりする方法もありましたが、ライトニングネットワークはブロックに記録するデータを減らすアプローチをとりました。

    ホワイトペーパーでは、Visaの4万7,000TPSを実現しようとするだけでブロックサイズが大きくなりすぎると説明。ブロックサイズを大きくすると、ネットワークに参加するために非常に高性能のコンピューターが必要になり、マイナーやノードが減少して中央集権化が進んでしまうと述べています。

    ノードについて

    本節では、前節に出たきたノードについてご説明していきます。

    「ノード=node」という英単語は一般的に、「結び目」や「節点」という意味です。コンピューターや通信の領域では、「ネットワークの接続ポイント」を差します。

    ブロックチェーンで使われる場合も根本的な意味は同じですが、「ネットワークに参加しているコンピューター機器」の意味合いで使われる場合が多いです。ノードは、ブロックチェーンの分散型のネットワークを結ぶ役割を果たす節点のような存在でもあります。

    ビットコインのネットワークにも複数のノードが存在しており、マイニングをしたりしてネットワークの運営に参加しています。複数のノードがネットワークの運営に参加していることが、ビットコインなどのパブリックブロックチェーンが「分散型」と言われる理由。ノードが存在しているため、中央管理者がいなくてもブロックチェーンは稼働できるのです。

    ライトニングネットワークも分散したノードによって運営されていますが、ビットコインのノードとは別です。ライトニングネットワークは、ライトニングネットワーク独自のノードが運営しています。誰でもソフトウェアを稼働させればノードとしてネットワークの運営に参加することが可能。ノードの稼働は匿名で行うことができます。

    ライトニングネットワークのノードの役割は、チャネルを開閉したり、送金を実行・中継したりすること。効率的なルートで送金を中継できれば、手数料から報酬を得ることができます。なお、ライトニングネットワークは独自トークンを発行していません。

    具体的なユースケース

    時価総額1位で流動性の高いビットコインの利便性が高まるため、ライトニングネットワークはユースケースが増加してきています。

    例えば、世界で初めてビットコインを法定通貨として認定したエルサルバドルでも、ライトニングネットワークが活用されています。2021年9月にはライトニングネットワークを利用して、同国のスターバックスでビットコイン決済が行われた事例が報告されました。エルサルバドルのビットコイン導入は、ライトニングネットワークに対応した仮想通貨決済サービスを提供するStrikeがサポートしています。

    関連:エルサルバドル、スタバなどでビットコイン利用可能に

    他には、米ツイッター社が2021年9月に、ビットコインを含む投げ銭機能をiOSアプリに導入したことを発表。通常のビットコインアドレスとライトニングネットワークのアドレスをプロフィールに接続することが可能で、Strikeのアプリを介することでライトニングネットワークを利用できるようになっています。

    関連:ツイッター、ビットコイン投げ銭機能をリリース

    最近では2022年4月、eコマース大手Shopifyが、Strikeのサービスに対応しました。ShopifyはAmazonのライバルと呼ばれる企業。これでShopifyで認証された米国の小売店は、Strikeのライトニングネットワーク機能を利用して、世界中からビットコインによる支払いを受けられるようになりました。

    関連:eコマース大手Shopify、Strikeのビットコイン決済導入へ ライトニングネットワークで処理を高速化

    また、上述した以外にも、仮想通貨取引所がライトニングネットワークに対応した事例もあります。

    関連:米クラーケン、ビットコインの入出金にライトニングネットワーク導入へ

    さらに、ライトニングラボが2022年4月、ライトニングネットワークでステーブルコインなどの資産を発行できるようにするプロトコル「Taro」を発表。Taroは、ステーブルコインなどを用いて法定通貨からビットコインへ変換することを容易にするものだと説明しました。

    関連:ライトニングネットワークの新プロトコル発表 ステーブルコイン発行を可能に

    独自アプリ「Lapps」

    ビットコインを使って少額決済ができるため、ライトニングネットワークには特有のアプリも開発されています。ライトニングネットワークのアプリは「Lapps」と呼ばれています。

    仮想通貨コミュニティで大きな注目を集めているLappsの1つが「Pollofeed」。Pollofeedでは動画を見ながら、世界中どこにいても鶏に餌を与えることができます。「pollo」という単語には「鶏」の意味があり、「feed」には「餌をやる」や「配信」といった意味があります。

    以下のツイートの動画では、ライニングネットワークのウォレットから送金を行い、その後に餌が落ちてきて、鶏がその餌を食べる様子を見ることができます。

    ほかには、デジタルコンテンツを配信できる「Spotlight」というプラットフォームもあります。各コンテンツを1円からビットコイン決済で販売することができ、ビットコインで投げ銭をすることも可能です。

    Spotlightにはビットコインを活用したポイントシステムを導入。獲得したポイントを、ビットコインとして出金できるような仕組みを構築しました。

    しかし、2019年5月に可決された改正資金決済法によって、Spotlightがユーザーの資産を預かっているとみなされる可能性があるため、その後はポイントをAmazonギフト券へ交換できるように変更。また、Spotlightが協業する加盟店でポイントを使用することも可能です。

    出典:Spotlight

    主な課題

    ライトニングネットワークは発展途上の技術で、今も開発が進められています。本節では、主な課題をご紹介します。

    バグ

    ライトニングネットワークのソフトウェアの開発を行うLightning Labsは、リスクとして「バグ」を挙げています。バグとはプログラムの不具合のこと。ライトニングネットワークのソフトウェアにはベータ版で完成版ではないものもあるため、ユーザーは資金を失う可能性もあると説明しています。

    また、データが失われてしまったり、思うようにノードが報酬を稼げなかったりする可能性があることも課題に挙げました。

    流動性

    他には、ビットコインの流動性が課題であるとの指摘も上がっています。上述した通り、ライトニングネットワークを利用する際は、送金に使うビットコインを事前に入金する必要があります。本記事執筆時点で、ライトニングネットワークにロックされているビットコインの数量は3,920BTC(160億円相当)。ライトニングネットワークの利便性を高めるには、ビットコインの流動性をさらに増やす必要があるとの見方があります。

    出典:1ML

    キャパシティ

    この他に、送金を経由してもらおうと思ったら、経由者のところにビットコインが入金されていないという問題が起こる可能性があります。「送金されてくるのだから、経由者がビットコインを持っていなくても問題ないのでは」と思われるかもしれませんので、ライトニングネットワークの仕組みを、もう少し詳しく見てみましょう。

    これからAliceがBobを経由してCarolに送金すると仮定します。

      1. Aliceが1BTC、Bobが1BTC、合計で2BTCを入金して、AliceーBob間のチャネルを開設。
      2. 次に、Carolが1BTCを入金、Bobは入金せずにBobーCarol間のチャネルを開設。
      3. これでAliceはCarolとチャネルを開設しなくても、Bobを経由して送金ができるようになりました。

    課題として指摘されるのは、BobとCarolのチャネルです。BobはCarolに送金できるビットコインを入金していないので、今の状態でAliceからBobに送金しても、そこでビットコインが止まってしまいます。つまり、送金したビットコインがそのまま送られていくわけではなく、あくまで1つのチャネルごとしか資金を動かせないようになっているのです。

    この場合、「Carolにはインバウンドキャパシティがない」などと表現されます。「インバウンド(inbound)」は「入ってくる」や「入庫する」といった意味の英単語です。

    このように、効率的な送金を誘導する「ルーティング」を実行する際は、経路だけでなくチャネルごとの入金額も考慮しなくてはいけないので、仕組みが複雑だとの声も上がっています。

    しかし、この課題は以前から問題視されているため、豊富なルーティング実績を持ち、流動性の問題をサポートしてくれるようなサービスも開発されています。

    まとめ

    ライトニングネットワークはオープンソースで、開発が分散型で進められていることもあり、公式の計画書(ロードマップ)は公開されていません。今後も上述したような課題を解決するサービスが生まれたり、新しいユースケースが誕生したりしながら、普及が進んでいくと見られます。

    2018年ごろは実用化は厳しいのではないかとの指摘もありましたが、ノードやチャネルの数は増加傾向にあります。

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