バイナンスがアイルランドに新会社設立 欧州拡大戦略の一環
バイナンスの新会社
大手暗号資産(仮想通貨)取引所バイナンスは10月31日、欧州市場拡大に向けてアイルランドに子会社「Binance Global Sourcing」を設立したことを発表した。
バイナンスは過去に複数国の規制当局から警告を受けた経緯から、当局との関係改善に務めている。バイナンスの創業者で最高経営責任者(CEO)のChangpeng Zhao(CZ)は21年7月、分散型構造を脱却し、規制当局との関係を改善するために世界中に多数の本部を設置する計画の一環として地域本部を設立する方針を明かしていた。
21年10月には欧州拠点としてアイルランドを検討する戦略も報じられたが、最終的に欧州ハブとされる本拠地はフランスのパリに22年5月に設置された。
アイルランド企業登記事務所(CRO)によると、バイナンスがアイルランドに設置した子会社は本件で7社目。アイルランドの新聞紙Independentによると、CZ氏が、これらの企業のディレクター(取締役)と記されている
欧州拡大計画
31日のバイナンスのリリースによると、バイナンスの欧州拡大計画の焦点を、採用、教育、規制協力、エコシステム開発に当てている。同社は以下のように説明している。
アイルランドは金融サービス産業が発達しており、より広い欧州のフィンテック市場へのゲートウェイとなる。そのテクノロジーハブは国際的に認められている。
アイルランドでは、仮想通貨取引所やウォレット業者を規制対象に含める「マネーロンダリング・テロ資金調達修正法案2020」が明文化された経緯がある。よって、取引所などの関連業者は第5次EUマネーロンダリング指令の規定に基づき、美術品ディーラーなどと共に、政府の管轄下に置くことになった。
バイナンスによると、同社は22年夏にアイルランド事業のディレクターとして、資産運用会社ステート・ストリート元幹部のKarl Long氏を採用。Long氏は、法律事務所メイソン・ヘイズ・カランのコーポレート・セクレタリーを兼任する。
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バイナンスは、規制の枠組みが整っていることから欧州を仮想通貨業界の世界的なハブとして見ている。同社は22年5月、フランスの金融規制当局である金融市場庁(AMF)から、デジタル資産サービスプロバイダー(DASP)として登録が認可され、現地顧客へサービスを提供・販売するライセンスを取得した。
7月には、バイナンスの傘下企業Moon Tech社がスペイン銀行から仮想通貨サービス提供業者(VASP)ライセンスを取得したことを発表した。
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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します