ビットコインが年初来安値を更新、仮想通貨市場の流動性リスク高まる中
マクロ経済と金融市場
22日の米NY株式市場では、ダウは前日比45ドル(0.1%)安で取引を終えた。 中国の首都・北京で新型コロナウイルス感染拡大が確認されたことも懸念材料となった。仮想通貨市況
暗号資産(仮想通貨)市場では、ビットコインは前日比1.2%高の15,795ドル。
9日の年初来安値15,500ドルを更新し、一時15,460ドルを付けるなど厳しい情勢にある。FTXから不正流出したイーサリアム(ETH)の売り圧力も警戒される状況だ。
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ここ数日間は、大手レンディング企業のGenesis Capital(ジェネシス)が仮想通貨取引所FTXの破綻を受け窮地に陥っていることが取り沙汰されている。
ジェネシスは先週時点で融資事業における顧客の償還を一時停止。その際「影響は貸付業務のみで、トレーディングまたはカストディ業務は問題ない」としていた。
22日には、5億ドル相当の緊急資金調達が実現しなければ破産申請を出す可能性があることを投資家向けに通知した。
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18日にロイターが報じたところによれば、ジェネシスはアラメダに対し、FTXの発行したFTTトークンを担保に融資した可能性がある。
ジェネシスが提供する機関投資家向けの低金利ローンは、運用上の安全性を考慮して融資額以上の資産を差し入れる過剰担保を標榜していたが、実際には借り手の信頼性を考慮した過少担保および無担保ローンが一部で横行していた疑いが浮上。担保資産を他の顧客の融資に充てていた疑いも指摘される。
なお、ジェネシス最大の借り手は破綻したヘッジファンドのスリーアローズキャピタル(3AC)とアラメダ・リサーチであり、現在どちらも破産手続きを進めている。ジェネシスが破綻した場合、親会社であるデジタルカレンシーグループ(DCG)への影響は必至だろう。
DCGは傘下にビットコイン投資信託(GBTC)を運用するグレースケールを擁しており、相場への影響も懸念される状況だ。この点についてカストディを担う米最大手取引所のコインベースは21日、グレースケールの仮想通貨投資信託の裏付け資産における異例の”証明開示”に踏み切った。
コインベースにも問題が波及しかねない状況にあったことが背景にあるものとみられ、資産証明は一定の安堵をもたらしている。
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市場流動性が低下
データプロバイダーのKaikoは21日、「仮想通貨市場はFTXと関連投資会社アラメダ・リサーチの破綻を受けて流動性が枯渇している」と指摘した。
同社の見解によれば、仮想通貨の流動性は破綻したアラメダ・リサーチをはじめ、WintermuteやAmber Group、B2C2、Genesis、Cumberlandなど一握りの取引会社によって支配されていた。
中でも、最大規模のマーケットメイカーであったアラメダ・リサーチの崩壊と破綻の連鎖は、今後も仮想通貨市場に深刻な流動性危機をもたらすおそれがある。さらにこのような状況下では、貸し手が過度に慎重にならざるを得ない状況で借り入れが困難となり、中央集権型取引所へのエクスポージャーを積極的に減らしているという。
オンチェーンデータ分析
ブロックチェーン分析会社IntoTheBlockのデータによると、ビットコインのウォレットアドレスの内、過半数を超える51%強が含み損に転じた。
過半数を超えるビットコイン保有者の損益分岐点を割り込み、損益がマイナスの状態(アウト・オブ・ザ・マネー)に陥るのは、2017年の仮想通貨バブル以降だと2019年と2020年3月のコロナショックの2回しかない。
ビットコインキャッシュのハッシュ戦争後の19年1月相場では、含み損を抱えたBTCアドレス割合が全体の55%に到達。1BTC=3,200ドルで底を打ち、3ヶ月後に強気相場へと転換している。
暗号資産(仮想通貨)取引所のイーサリアム残高は、過去4年間の最低値を記録した。
金融引き締めに伴うリスク資産からの撤退で今年初めから断続的に減少していたことに加え、FTX破綻の影響を受けて大幅に減少している。
Glassnodeのデータでは、FTX破綻を受け投資家が資金を退避されていることがより顕著に露呈している。ネットポジションの変化を示すデータは、先週分の資金流出を加えると過去最高の月間-17.2万BTCの純減に到達した。
一方、暗号資産分析会社Santimentによれば、一部にクジラ(大口投資家)はイーサリアム保有量を増やしている可能性がある。100ETH〜100,000ETHのウォレットは、FTX騒動の発生した過去12日間で保有量を3.5%増加させた。
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