韓国中銀、ステーブルコインの監督権限を求める
ステーブルコインの特別規制
韓国銀行(中央銀行)は5日、暗号資産(仮想通貨)規制に関する報告書を発表。145ページにわたる報告書では、ステーブルコインに関して特別規制を設けるよう提案し、中銀に監督の役割が与えられるべきだと主張した。
報告書は、仮想通貨は発行構造や市場体系が証券や貨幣などと異なり、既存の規制では対応が困難なため、新たに特別法を制定する必要があると指摘し、規制整備についての方向性を示した。
その上で、ステーブルコインが法廷通貨に代わる支払い手段として普及した場合、既存の決済システムから分離した経済体系に進化する可能性があると指摘。中銀の通貨政策の効果低減や、取り付け騒ぎが発生した場合の金融市場へのリスクから、金融安定性を阻害する懸念があると警告した。
そのため、ステーブルコインの発行者や関連サービス事業者については、一般的な仮想通貨規制とは差別化した規制を検討する必要があると主張。最低限の資本と準備資産の適合性、外部監査と定期報告、投資家保護のための説明義務などを求めるべきだとした。
また、韓国在住者向けに外国通貨建のステーブルコインが販売された場合、外国為替取引法が適用される可能性が高いが、ユーザーが取引申告を行うか不明確だと指摘。外為法の改正も視野に入れ、発行者による国内法人設立など、参入規制を設ける必要があると主張した。
一方、現地通貨である韓国ウォン建のステーブルコインについての監督権限については、既存の銀行法に従い「中央銀行が積極的な役割を担う必要がある」と強調した。
ステーブルコインとは
価格が常に安定している(stable)仮想通貨を指す。暗号資産の一種で、BTCやETH、XRPなど変動性のある資産とは異なり、に裏付けられその価値を保つことが目的。米ドルの裏付けによるステーブルコイン(USDT・USDC)のほか、DAIなど、アルゴリズムを利用するステーブルコインもある
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海外の動向
報告書では、主要国のステーブルコイン規制について、欧州連合(EU)と英国、日本の例を紹介した。
日本では今年6月に参議院でステーブルコインに関する規制法案が可決されているが、報告書は「電子決済手段の発行」が銀行、送金業者、信託業者に限定されていると述べるにとどまった。
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EUの場合、準備資産に裏付けられた資産準拠トークンと、支払い手段となっている電子マネーを分けて規制。資産準拠トークンの発行はEUの所轄当局からの認可を必要とする一方で、電子マネーについては既存の電子マネー関連規制を適用する。
資産準拠トークン発行に対する意見提示、認可の拒否、認可取り消し請求の権限は、欧州中央銀行(ECB)に付与される。
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英国の場合、単一通貨建のステーブルコインには電子マネー規制を適用するが、複数通貨のバスケット型ステーブルコインに対しては、別途の規制を設ける予定だという。
英国では今年10月、ステーブルコインを決済手段として規制する「金融サービス・市場法案」が下院を通過。現在、財務省が追加規制を策定中だと報道された。同法案が成立するには、上院での承認と最終審議が必要となる。
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