米SEC委員長「我々はステーキングなどの技術には中立」
仮想通貨サービス対するSECの見解
米証券取引委員会(SEC)のGary Gensler委員長は10日、CNBCの「Squawk Box」に出演し、暗号資産(仮想通貨)取引所クラーケンのステーキングサービス(staking-as-a-service)を証券法違反とみなしたことについて説明を行った。
クラーケンの問題は、一般投資家にリスクなどの情報開示を行うという証券法のルールに従っていなかったことだとGensler氏は指摘。他のプラットフォームもルールに従い、SECに登録を行って、適切な情報開示をしてから米国でサービスを提供すべきだと述べている。
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CNBCのAndrew Ross Sorkin氏は冒頭で、クラーケンのステーキングサービスを証券法違反とみなしたことを受け、ビットコイン(BTC)などの仮想通貨の価格が下落したと指摘。その後で、金利を提供するコインベースなどのサービスと、クラーケンのステーキングサービスの何が違うのかを質問した。
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この質問に対しGensler氏は、「サービスの呼び方ではなく、根底にある経済的側面が問題である」という米最高裁判所判事の過去の言葉を引用。そして、レンディングや年利など表現の違いは重要ではないとし、経済的な側面やリスクについて以下のように説明した。
誰かがトークンをプラットフォームに送り、そのプラットフォームが彼らのトークンの管理を行う。この時に、もしプラットフォームが破産したらどうなるか。
仮想通貨には「秘密鍵を持っていないなら、コインの所有権はない」という言葉がある。プラットフォームが破産したら、トークンを預けていた人々は破産裁判所に並ぶことになるだろう。
Gensler氏は、この言葉に続けて、他のプラットフォームも証券法に準じるべきだと主張。一方で、SECは投資家保護に特化しているだけで、技術に対しては中立であると述べた。
投資家は自分の好きなようにリスクを取ることができるし、クラーケンらもステーキングなど投資契約のサービスを提供したい場合は、ウェブサイトのフォームから登録を行えば良いと説明している。
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SECへの登録は可能だったのか
このようにGensler氏は、ウェブサイトのフォームから登録を行えば良いと述べ、クラーケンらの企業は登録方法は知っていたと主張。申請を行い、SECのメンバーと話し合いを行って、情報開示のレビューチームとコミュニケーションを取ることは可能だったと語っている。
一方で、仮想通貨擁護派として知られるSECのHester Peirce氏は、クラーケンはSECに事前に登録することは可能だったのかという点を問題視。ステーキングサービスについて、「銘柄ごとに登録しなくてはいけないのか」や「どんな情報開示を行わなくはいけないのか」など、複雑な疑問が多く存在していると指摘した。
Peirce氏はクラーケンへの対応に反対であると主張。このコメントはSECの公式ウェブサイトで発表している。
海外メディアによれば、Peirce氏は10日、ペンシルベニア大学のカンファレンスに登壇。そこでもステーキングについて「我々SECは、業界のメンバーと事前に話し合いを試みようとしなかった」と述べ、執行によって規制を続けるSECの対応を批判した。
今回CNBCでPeirce氏の反対意見について聞かれたGensler氏は、「我々の関係は良好で、規則的にコミュニケーションを取り、ステーキングなどについて議論もしている」と説明している。
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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します