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米SEC「クラーケンの仮想通貨ステーキングサービスは証券法違反」 SECのへスター・ピアース氏は今回の判断に反対

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ステーキングサービスを提訴

米証券取引委員会(SEC)は9日、米大手暗号資産(仮想通貨)取引所クラーケンを、証券法違反で起訴したことを発表した。

クラーケンが提供していたステーキングサービスは、事前にSECに登録する必要があったとSECは主張。クラーケンが罰金や不正利得などを含めた約39億円(3,000万ドル)を支払うこと、また米国でステーキングサービスの提供を即座に中止することに合意し、両者はすでに和解している。

ステーキングとは

所定の期間、一定量の仮想通貨を預け入れることで報酬が得られる仕組み。ブロックチェーンの運営に貢献することで、対価として報酬を得ることができる。

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SECは、クラーケンが2019年からステーキングサービスを提供していたと説明。投資家から仮想通貨を集め、投資家に代わってステーキングを行うことで、年利21%もの報酬を分配していたとし、同社のサービスを「staking-as-a-service(サービスとしてのステーキング)」と表現している。

そしてSECは、投資家はステーキングを行うと、仮想通貨を自身でコントロールできなくなると指摘。ここには投資家を保護する仕組みがほとんどなく、プラットフォームに対するリスクを負っていたと述べている。

クラーケンのステーキングサービスは、投資家から資金を集め、クラーケンの努力によって収益が期待されることから投資契約に相当するとSECは主張。SECのゲリー・ゲンスラー委員長は、以下のようにコメントした。

サービスとしてのステーキングでもレンディングでも、また他のサービスであっても、仲介者が投資家のトークンと引き換えに投資契約を行う場合は、証券法に準じて情報開示を行い、投資家保護のルールに従う必要がある。

今回のSECの行動によって、ステーキングサービスの提供者が証券法に従う必要があることが明確になっただろう。

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SECがクラーケンの証券法違反を主張し、和解する可能性があることは、「ブルームバーグ」が9日に報じていた。

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クラーケンの発表

クラーケンは9日、米ユーザーに提供している「オンチェーンステーキングサービス」を終了すると発表。同日から、対象の仮想通貨は自動的にステーキングを解除すると述べた。

なお、次期アップグレードまで出金ができないイーサリアム(ETH)は対象から除くと説明。そして、米国以外のユーザーには、ステーキングサービスの提供を継続していくと強調した。

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関係者の反応

米国におけるステーキングサービスに対する規制については、ブルームバーグ以外にも、米コインベースのブライアン・アームストロングCEOが9日にコメント。「SECが米国で一般投資家向けの仮想通貨ステーキングを排除したいと考えているという噂を耳にした。そんなことが許されたら米国にとってひどい道になると思うので、そうならないことを祈る」と述べていた。

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今回のクラーケンの件を巡り、10日にはコインベースの最高法務責任者ポール・グレワル氏がコメント。アームストロング氏が言及した噂が真実になったとツイートしている。

グレワル氏は、コインベースが提供するような「真のオンチェーンステーキングサービス」は、クラーケンのサービスとは異なると主張。同社のステーキングサービスの報酬はプロトコルと、事前に公表されている手数料に管理されていると説明した。

顧客は報酬に対する権利を有しており、コインベースが報酬を支払わないという決断をできないようになっていると主張。顧客の資産は顧客が所有したままで、上場企業であるコインベースは顧客資産の監査も受け、情報公開も行っていると説明している。

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SECメンバーの意見

また、仮想通貨擁護派と知られるSECのへスター・ピアース氏も、今回のクラーケンの件を受け声明を発表。「SECがクラーケンのステーキングサービスを終了し、投資家の勝利だとみなしていることに、私は反対する」と述べた。

ピアース氏は、SECの判断というよりも、SECへ事前に登録することは可能だったのかという点を問題視。ステーキングのような仮想通貨サービスをSECに登録することに関しては、複雑な疑問が多く存在していると指摘した。

例えば、「ステーキングサービスは銘柄ごとに登録するのか、全体として登録すればいいのか」、また「どんな情報を投資家に開示すればいいのか」などの疑問だ。

ピアース氏は、ステーキングサービスは以前からあったため、SECに事前にガイダンスを出すよう求めるべきだったと説明。そして「我々はまたガイダンスを出す前に、規制を執行してルールを提示した」と述べている。

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