イーサリアムL2「Scroll」、zkEVMをGoerliテストネットにローンチ
安全なL2ソリューションを開発
暗号資産(仮想通貨)イーサリアム(ETH)のL2プロジェクト「Scroll」は27日、「zkEVM」の独自ソリューションをGoerliテストネットにローンチしたことを発表した。
これから数カ月間テストを継続してパフォーマンスを改善。今回の「Alphaテストネット」は、メインネットローンチ前の最後のテストである。
Scrollが前回の「Pre-Alphaテストネット」をローンチしたのが2022年8月。これまで10万超のユーザーからサポートを受け、1,540万以上のトランザクションを処理してきた。そして、180万ブロックの証明を生成・提出してきたという。
Alphaテストネットはパーミッションレス(自由参加型)のテストネット。Goerliではテスト用トークンの入手が困難になってはいるが、誰でもテストに参加することが可能だ。
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zkEVMの開発競争
zkEVMとは、ZKロールアップという技術を活用したL2ソリューション。なおかつ、イーサリアムの仮想マシン(EVM)と互換性や等価性を持っている。ZKロールアップは技術は優れているものの、EVMと互換性を持たせることが困難とされてきたが、ScrollやzkSyncら複数のプロジェクトが技術を実現しようと取り組んできた。
ZKロールアップとは
ゼロ知識証明を導入したロールアップ技術のこと。ロールアップとは、メインのブロックチェーンのセキュリティを活用しながら、トランザクションの一部をオフチェーン(ブロックチェーン外)で処理することにより、ネットワークの混雑解消を図るスケーリングソリューションを指す。
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Scrollは今回の発表で、これまでの開発において以下の点を大切にしてきたと説明している。
- コミュニティ主導であること
- 長期的な視点で考えること
- イーサリアムの価値観を大事にすること
2番目の長期的な視点の項目では「zkEVMは、ブロックチェーン領域で最も複雑なシステムの1つ」と指摘。長期的な視点で、安心して利用できるよう安全に構築することが不可欠であると説明した。
zkEVMの開発では、ポリゴン(MATIC)が14日、メインネットのベータ版を3月27日にローンチすることを発表。またzkSyncも、まだ一般向けではないが、zkEVMのメインネットをローンチしている。
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名称としてはScrollはまだ「テストネット」の段階。他のプロジェクトよりも開発が遅れていることになるが、Scrollの共同創設者Sandy Peng氏は16日配信の「GM Radio」で、ローンチ時期の多少の遅れは問題ではないと語った。
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他のプロジェクトが開発で先行している状況でも、Scrollは自分たちの考えに従い無理に一番を目指さず、安全なネットワークを構築できるよう取り組んでいる。
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