ビットコイン年初来高値更新、銀行破綻の影響でメタマスクの出来高は過去最高に
マクロ経済と金融市場
14日の米NY株式市場では、ダウは前日比336ドル(1.1%)高、ナスダックは239ドル(2.1%)高で取引を終えた。
注目されたCPI(米消費者物価指数)は、エネルギー・食品を除くコア指数が市場予想を0.1%上回ったものの、インフレ率は23年1月の6.4%から6%まで低下。想定の範囲内に収まったことで、株やビットコイン(BTC)の買い戻しにつながった。
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仮想通貨市況
暗号資産(仮想通貨)市場では、ビットコインは前日比2.4%高の24,960ドルに。
CPI結果を受け一時26,553ドルまで急騰するも、米国時間に2,500ドルほど反落する場面があった。
19,564ドルから急ピッチで反騰してきたこともあり、利益確定売りに押される形で上昇を一服したものとみられる。
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MetaMaskのスワップ取引が過去最高に
シルバーゲート銀行、シリコンバレー銀行、シグネチャー銀行の相次ぐ破綻を受け、最大手デジタルウォレットMetamaskのトークンスワップ(交換)取引量が過去最高を更新。記録的な数値を叩き出した。
主にステーブルコインUSDCを発行するサークル社がシリコンバレー銀行に33億ドルの準備金を預けていることが明らかになり、信用不安から1:1で価値を連動する米ドルとのディペグが急進したことに起因する。取引所内やデジタルウォレット内に保有していたUSDCを、資産保全のためUSDTなど別のステーブルコインやビットコインなどに急遽スワップした可能性が高い。
USDCは通常1.00ドルを維持しているが、先週末には一時0.82ドルまで大幅乖離し、FUD(悪い噂)や仮想通貨のパニック売りを誘った。その後USDCのペグ回復が、“万が一の事態”を想定していた市場に安堵をもたらすと、ビットコインなど仮想通貨の買い戻し機運へとつながった。
Dune Analyticsのデータによれば、この際、プロトコル別のDEX(分散型取引所)取引量では、Uniswapの1日あたりの出来高が120億ドルを超えた。これは米国株式市場「NASDAQ」の日次出来高の5%に相当するという。
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一方、グレースケール・リサーチのレポートによれば、多くのドル連動型ステーブルコインの安定神話が崩れかけ、その後ペグを急回復する混乱の中、ビットコインとイーサリアム価格は一貫して上昇傾向を示した。
USDCを中心としたステーブルコインの逃避先として、BTCとETHが優先されたとみられる。
銀行破綻の影響とタイムライン
この時の状況について、グレースケール・リサーチは、銀行破綻の時系列と仮想通貨市場の時価総額の推移を可視化したグラフを掲載した。
昨年11月に起きた大手取引所FTX破綻の影響で預金額が7割減少したシルバーゲート銀行の破綻が伝わると、ビットコインが大幅下落。市場全体の時価総額も大きく下落した。
その後、売られ過ぎ水準にあったことからSVBの閉鎖を底値にして反転。連邦準備制度理事会が預金者保険基金による保証を打ち出すと、大きな反騰をもたらした。
この際、デリバティブ市場では大規模なショート(売り)ポジションのロスカットが発生している。
仮想通貨関連企業に重宝されてきたシルバーゲート銀行は、GeminiやKraken、ErisXなどの暗号資産取引で利用されていた年中無休の即時決済ネットワーク「Silvergate Exchange Network (SEN)」を提供していたこともあり、不安が増幅された点も否めない。
今後の見通しとしては、やはり23日午前3時頃(日本時間)に発表予定の連邦公開市場委員会(FOMC)の金融政策がターニングポイントだろう。
急速な利上げの影響で銀行の破綻をもたらした状況を受け、インフレ抑制のスタンスを崩さずいくべきか、金融システム安定化を優先すべきか、極めて難しい舵取りを迫られることになる。
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