ブータン政府の投資ファンド、仮想通貨に数十億円投資=報道

ブータン政府のファンドが仮想通貨投資

ブータン王国の投資部門は、暗号資産(仮想通貨)に数十億円規模で投資していた。仮想通貨レンディング企業BlockFiと、セルシウスの破産申請書類により明らかになった形だ。フォーブスが15日に報じた。

仮想通貨に投資していたのは、2007年に、ブータンの国王の勅許により設立された政府系投資ファンドDruk Holding & Investments(DHI)である。水力発電所や、ロイヤルブータン航空などのブータン企業をポートフォリオに保持する約3,900億円(29億ドル)の政府投資部門だ。

BlockFiとセルシウスを利用

破産したBlockFiの弁護士が3月にDHIに送った書類によると、DHIはBlockFiから、ステーブルコインUSDCの形で約40億円(3,000万ドル)の融資を受けていた。

ステーブルコインとは

価格が常に安定している(stable)仮想通貨を指す。ステーブルコインは暗号資産の一種で、BTCやETH、XRPなど変動性のある資産とは異なり、米ドルなどに裏付けられその価値($1)を保つことが目的だ。米ドルの裏付けによるステーブルコイン(USDT・USDC)のほか、アルゴリズムを利用するステーブルコインもある。

▶️仮想通貨用語集

BlockFiはDHIが担保として預けていたビットコイン(BTC)を清算したが、まだ約1.1億円(82万ドル)の未払い残高があるという。書類は、この残高をBlockFiに返済するよう求めるものだった。

DHIのUjjwal Deep Dahal CEOは、フォーブスに対して「BlockFiとの問題は解決済みである」と述べた。また、守秘義務があるとして、それ以上のコメントは避けている。

DHIはセルシウスの顧客でもあった。セルシウスは昨年、連邦破産法11条により破産申請を行ったところだ。その後10月に、ユーザーのアカウント名、アドレス、取引などを掲載した文書を公開。この中に、DHIの口座も確認できる。

2022年4月から6月にかけて、DHIの口座はビットコイン、イーサーリアム(ETH)、USDTやその他の仮想通貨の入金、引き出し、借り入れといった取引を多数行っていた。仮想通貨で約87億円(6,500万ドル)以上を引き出し、約24億円(1,800万ドル)近くを預けていた形である。

ブータンは、ヒマラヤ山脈に位置する仏教王国。国土の大半を山岳地帯が占めており、自然が広がっている。国連の「世界幸福度ランキング」では2013年に世界8位にランクインしたことでも有名になった。2021年時点の人口は約78万人である。

CBDCでリップル社と提携

ブータンの中央銀行は2021年、中央銀行デジタル通貨(CBDC)で米リップル社とパートナーシップを結んだ。

ブータンの決済インフラに、リップル社の台帳「CBDC Private Ledger」を導入して、企業や個人、銀行間の決済、国際送金の実験を行うとしていた。デジタル決済により効率性などを高め、金融包摂を加速させる目的である。

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政府系ファンドの動向

ブータンの政府系ファンドのように、仮想通貨を直接保有する政府系ファンドはまだ少ないものの、Web3やメタバースに出資する政府系ファンドは増えているところだ。

例えば、韓国の政府系ファンドは2022年、米シリコンバレーのスタートアップに投資し、メタバース、AI(人工知能)などへのエクスポージャーを増やしている。

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また、シンガポールの政府系ファンド「Temasek」は香港のWeb3大手企業アニモカブランズの134億円(1億ドル)の資金調達ラウンドを主導している。

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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します

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