ビットコイン週足は下影陽線、反発局面のショートスクイーズ確認されず
マクロ経済と金融市場
前週末16日の米NY株式市場では、ダウ平均株価は前日比108ドル(0.32%)安、ナスダック指数は93ポイント(0.68%)安と反落した。
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仮想通貨市況
暗号資産(仮想通貨)市場では、ビットコインは前日比0.23%安の1BTC=26,445ドルに。
週足は下影陽線を付け、前週比2.1%高となった。前々週はバイナンス提訴を受け一時24,750ドルまで急落したが、その後売り超過水準の揺り戻しで反発。最大手の資産運用会社ブラックロックの「ビットコインETF」申請も好感された。
ただ、反発したとは言え、4月以降は上値を切り下げつつ下降チャネル内を推移し、週200MAの26,597ドルも下回っている状況にある。相場の不確実性が高まる中、27,000ドルや28,500ドルのレジスタンスライン(上値抵抗線)をブレイクしない限り、上値の重い状況が続きそうだ。
アナリストの分析
Pentoshi氏は、過去のビットコイン相場の傾向から、サポートラインを割り込んだ場合19,000〜20,000ドル、22,000〜23,000ドルまで下落する可能性が高いとの見立てを示した。
米SEC(証券取引委員会)規制など不確実性の高まりにより、投資ファンドマネジャーなどのアセットアロケーターが投資できないこと、連邦刑事法と法の執行全般に関与する米司法省(DOJ)の動き、米国株式市場が天井を付けピークアウトする可能性、などを背景に挙げた。
ブルームバーグが16日に報じたところによれば、JPモルガン・チェースは、ソブリン・ウェルスや年金基金を含むポートフォリオについて、21年第4四半期以来最大のリバランス・フローが発生し、これに伴い最大5%の株価調整が起こり得ると予想している。
リバランスは目標資産配分に基づくリスク管理や税務上の理由で行われるもので、昨今の株価大幅上昇に伴い、過剰に増えた資産クラスの一部売却が求められる可能性がある。
米司法省(DOJ)はマネロンなどの違法行為の取り締まりに向け、暗号資産取引所への監視を強化している。今年5月にロイターが報じた。
一方、データ分析企業CryptoQuantのKi Young Ju(@ki_young_ju)CEOによれば、先週末のビットコイン反発局面において、大規模なショートスクイーズ(ショートポジションの踏み上げ)は発生していなかった。
オンチェーンデータ分析では、永久先物スワップは、ショートポジションのロスカット(強制清算)ではなく通常の買いが多くを占めた。これは、さらに価格が上昇した場合、大幅上昇につながる燃料がまだ残っていることを示している。
バイナンス
業界最大手の暗号資産(仮想通貨)取引所を運営するバイナンスは、未登録有価証券の販売などの罪をめぐり米SECから提訴されるなど、ここのところ苦境に立たされている。
16日には仮想資産サービスプロバイダー(VASP)ライセンス取得ができずオランダ市場からの撤退を発表したほか、フランス紙ルモンド(Le Monde)の報道によれば、マネーロンダリング防止の義務を怠った疑いで、2022年2月より予備捜査対象となっていることも判明している。
一方、米SEC(証券取引委員会)が求めるBinance.USの資産凍結の差し止め命令を回避する妥協案に合意し、米国の顧客はプラットフォームからの資金引き出しが認められることがわかった。
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