イーサリアムL2「Arbitrum」自律組織が83億円相当獲得、エアドロップ未申請分から
DAOの財源に割り当て
暗号資産(仮想通貨)イーサリアム(ETH)のL2プロジェクト「アービトラム(ARB)」は25日、ARBトークンのエアドロップ(配布)について、Claim(受取申請)されなかった分およそ6,944万ARB(83億円相当)を「Arbitrum DAO」の財源に割り当てたことを発表した。
受取申請されなかったARBをどうするかは、Arbitrum DAOで提案(AIP-7)に事前に明記され、承認を得ていた。6,944万ARBは初期発行量である100億ARBの0.69%相当である。Arbitrum DAOはアービトラムの自律分散型組織(DAO)。ARB保有者が技術や組織に関して提案をしたり、投票を行ったりするための組織で、財源の使い道についてもARB所有者が提案・投票を行う。
DAOとは
「Decentralized Autonomous Organization」の略で、自律的に機能する分散型組織を指す。一般的な企業などとは違い、経営者のような中央管理者が存在しない。
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アービトラムはイーサリアムのエコシステムにおける代表的なL2プロジェクト。「L2 BEAT」のデータによれば、「Arbitrum One」のチェーンはイーサリアムのL2の中で、運用のためにロックされた仮想通貨の総価値「TVL(Total Value Locked)」が最も多く、2位の「OP Mainnet」とは2倍強の差がついている。
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今回の受取申請の期限はイーサリアムのブロック高「18,208,000」と決められており、24日になると予想されていた。
アービトラムのプロジェクトは今回の発表で、エアドロップの期限は終了したことを強調。どんな申し出であってもARBの受取申請はもうできないと述べ、詐欺に対する注意を呼びかけた。
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L2の需要が増加
アービトラムは今年3月、独自トークンであるARBを発行、Arbitrum DAOによる運営を開始した。ネットワーク運営の分散化を進めるプロジェクトの当初からの戦略の一環だ。
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イーサリアムのエコシステムではL2の需要が高まっており、大手仮想通貨取引所コインベースがBaseというL2を支援するなど、競争も激化してきた。過去数か月間にL2の利用が増加している影響で、イーサリアム(L1)の取引手数料は低下傾向にある。
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