マクロ経済と金融市場
22日の米NY株式市場では、ダウ平均株価は前日比106.58ドル(0.31%)安、ナスダック指数は12.18ポイント(0.092%)安で取引を終えた。
米連邦準備理事会(FRB)の金融政策について追加利上げの可能性が取り沙汰される中、金融引き締め局面が市場想定以上に長期化するとの懸念で売りを強めている。
仮想通貨市況
暗号資産(仮想通貨)市場では、ビットコイン価格は前日比1.39%安の1BTC=26,200ドルに。
最近のデータでは、バイナンスへのビットコインの大量流入が明らかになり売り圧力が示唆されるほか、ビットコインの時価総額を実現資本(Realized Cap)で割って計算される「MVRV比率」の低下は、多くのビットコイン保有者が含み益が少ないか、あるいは含み損にあること暗示している。
一方、MVRV比率が過去最低水準まで低下した年初時点のビットコイン価格は16,000ドル台であったが、現在は26,000ドル台まで上昇している。
No one cares #Bitcoin anymore. If you care, you deserve it.https://t.co/cx8nYhMGpa pic.twitter.com/MRkqTquUh2
— Ki Young Ju (@ki_young_ju) January 3, 2023
なお、オプション市場の四半期限月の重なる9月29日には、30億ドル相当のBTCオプションと18億ドル相当のETHオプションが期限切れとなる。
マーケットメーカーは原資産価格の変化に合わせて不利な価格変動に対するポジションをヘッジ調整するため、オプションの満期が迫るににつれ、ボラティリティ(価格変動性)が拡大し、市場が不安定になる可能性も指摘される。
The Block Dataのビットコイン・ボラティリティ指数は、過去最低付近で推移しているが、過去1か月間では上昇傾向にある。
関連:ビットコイン上値トライに失敗、目先は下げ渋る展開見込む|bitbankアナリスト寄稿
イーサリアムのガス代大幅減少
イーサリアム(ETH)の取引手数料(Gas代)週平均は、前週比-9.3%の1.15ドル(170円)まで低下し、2022年12月26日以来の最低水準となった。
Santimentによれば、歴史的に見るとイーサリアムの流通コストが低下するに従ってユーティリティが上昇する傾向にある。
🤑 #Ethereum network fees have dropped down to its lowest level of 2023, at just $1.15 per transaction. Historically, we see utility begin rising as $ETH becomes more affordable to circulate. Increased utility can then lead to recovering market cap levels. https://t.co/MpOLfMYKUp pic.twitter.com/JI8ZLhmb4p
— Santiment (@santimentfeed) September 23, 2023
イーサリアムのガス代低下はユーザーにとって恩恵はあるものの、イーサリアムの供給量は過去1週間で6,511ETH純増するなど、バーン(焼却)されるトークン量減少により、デフレ的性質を持つデジタル資産からインフレ性質に転じている。
Nikita Zhavoronkov氏は通貨供給量の再上昇について、次のような見解を示した。
Is Ethereum becoming inflationary again?
— Nikita Zhavoronkov (@nikzh) September 23, 2023
Yes, it is, and that's because Ethereum fees, which are supposed to burn ethers, are everywhere but not on Ethereum: its own L2s (Arbitrum, Polygon, etc.) and EVM competitors (BNB, Avalanche C, etc.)
Limiting L1 dooms cryptocurrencies. pic.twitter.com/cE82gwUbZR
おそらく今後もイーサリアムのインフレは続くだろう。
バーンによってトランザクション手数料がネットワークから取り除かれ、供給量減少でインフレーションが抑制される仕組みとなっているが、イーサリアムのL2ソリューションのArbitrumやPolygon、EVM(Ethereum Virtual Machine)互換の競合プラットフォームの台頭によって、メインブロックチェーン(L1)上のトランザクション手数料のETH燃焼が制限されているからだ。
関連:イーサリアムのガス代が今年最低水準に、L2エコシステム拡大の影響か
レイヤー2(L2)台頭前のDeFi(分散型金融)やNFT市場全盛期には、過剰な投機需要でガス代が一時数千円に上ることもあり、スケーラビティ問題の解決が重視されてきた。
一方、FRB(米連邦準備制度)による年内の追加利上げの可能性などマクロ経済の不確実性もあり、クジラ(大口投資家)からの買い圧力の兆候は現時点では見られない。
There are no signs of buying pressure from #Ethereum whales yet! pic.twitter.com/oqBbdbaOlb
— Ali (@ali_charts) September 21, 2023
Glassnodeのオンチェーンデータ分析によれば、1,000ETH以上保有するデジタルウォレット数は過去5年間の最低値となる6,082に達した。
📉 #Ethereum $ETH Number of Addresses Holding 1k+ Coins just reached a 5-year low of 6,082
— glassnode alerts (@glassnodealerts) September 19, 2023
View metric:https://t.co/iDNXAbbLRt pic.twitter.com/gmGccZb3e5
長期保有者の一部が、清算活動に直面している可能性が指摘される。
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