JPモルガン「イーサリアムはステーキング増加で中央集権化進行」
イーサリアムの現状を分析
米金融大手JPモルガンのアナリストは5日、暗号資産(仮想通貨)イーサリアム(ETH)のステーキングが最近増加していることで、ネットワークの中央集権化が進んでいると指摘した。同社の資料を入手した海外メディアが報じた。
2022年のアップグレード「The Merge」でコンセンサスの仕組みをプルーフ・オブ・ステーク(PoS)に移行し、今年のアップデート「Shapella(上海+カペラ=シャペラ)」でステーキングの引き出しが可能になった後の変化として指摘。ほかにも、ステーキングの利率が低下しているとした。
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イーサリアムのステーキングが増加している要因の1つに、リキッドステーキングの普及がある。通常は仮想通貨をステーキングするとロックされて利用することはできなくなるが、リキッドステーキングの導入によって代わりとなるトークンが発行され、そのトークンを運用することができるようになった。
JPモルガンのアナリストは以下のグラフを掲載し、リキッドステーキングのプロバイダーのトップ5が、マーケットシェアの50%以上を占めていると指摘。1位のLidoは約3分の1に相当するとした。仮想通貨領域ではLidoのような分散型のプラットフォームの方が好まれる傾向があるとアナリストは説明している。
そして「リキッドステーキングやノード運用者が集中するとネットワークのリスクになることは言うまでもない。単一障害点になったり、攻撃のターゲットにされたり、悪意を持って結託したりする可能性があるからだ」と述べた。
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その他の分析
中央集権化以外にも、リキッドステーキングが増加することで清算の連鎖が起こる可能性が高まるともアナリストは指摘。リキッドステーキングすることで発行されるリキッドステーキングトークンがDeFi(分散型金融)で担保に同時に利用されることで、このリスクが高まると説明している。
悪意のある攻撃やプロトコルのエラーなどによってイーサリアムの価格が急落したり、ハッキングされたりした場合に清算の連鎖につながりうるとした。
また、ステーキングが増加することで利率は低下することになるが、JPモルガンのアナリストは「Shapella後に7.3%から約5.5%までイーサリアムの利率が下がった」と指摘。米国債等従来の金融資産が提供する資産の利率が上昇していることから、イーサリアムの魅力が下がってしまうことになりうるとも主張している。
先月末には、イーサリアムの共同創設者ヴィタリック・ブテリン氏が、ステーキング・プロトコルに変更を加えて、プロバイダー集中化の緩和(分散化)について考察する記事を公式ブログに投稿。リキッドステーキングでプロバイダーが一部に集中していることに懸念を表明した。
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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します