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米シークレットサービス、過去10年間で犯罪関連の仮想通貨580億円相当を押収

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

犯罪者からの仮想通貨押収

米国シークレットサービスのグローバル捜査オペレーションセンター(IGOC)は、過去10年間で犯罪者から4億ドル(約580億円)相当の暗号資産(仮想通貨)を回収している。ブルームバーグが6日、関係筋の情報として報道した。

IGOCの仮想通貨の大部分は単一のコールドウォレットに保管されており、世界最大級の資産を擁するコールドウォレットの一つとなっている。

IGOCの専門家は、オープンソースツール、ブロックチェーン分析、その他の手法を用いて犯罪に関連した資金を追跡してきた。

コールドウォレットとは

仮想通貨を保管するための財布の役割を果たす「ウォレット」の中で、インターネットと完全に切り離されたものを指す。

IGOCが押収した中でも最大のものとしては、「豚解体(pig butchering)」詐欺に関連する2億2,500万ドル(約325億円)相当のUSDTを差し押さえたものがある。

この事件ではコインベースやステーブルコインUSDT発行企業テザー社などが、オンチェーン分析や資産凍結などで捜査に協力していた。

「豚解体」詐欺とは、犯行グループがターゲットを「豚」と呼んで、お金を巻き上げる前に恋愛関係にあるように思い込ませるものだ。詐欺の一連の流れを、豚を解体する前に太らせることにたとえた呼び名である。

詐欺師は、架空の身分、ロマンスの可能性などを提示して、被害者に信頼できるパートナーだと信じ込ませ、詐欺の仮想通貨投資へと誘う。

関連:コインベース、米シークレットサービスによる360億円相当の仮想通貨押収を捜査協力で支援

銀行破綻につながった事例も

こうした仮想通貨投資詐欺は、米カンザス州の銀行が破綻することにもつながっていた。

カンザス州の農業金融会社ハートランド・トライステート・バンクのCEOが「豚解体」詐欺の被害者となり、詐欺師の指示で約5,000万ドル(約72億円)を横領し、その資金を仮想通貨ウォレットに移した。これが原因で、同行は流動性を失い2023年に破綻している。

被害者でもあったCEOは、横領により懲役24年の判決を受けた。預金は連邦政府によって保証されていたため、銀行の顧客は預金を返還されている。一方で、同行の株主は820万ドル(約12億円)以上の損失を被った。

その後、FBIは盗まれた資金を追跡して詐欺師のデジタルウォレットを特定。800万ドル以上を押収して取り戻すことができた。株主らは資産の大部分を回収することができた格好だ。

米国の各捜査当局は近年、ブロックチェーンや仮想通貨分野の対応にも力を入れている。

シークレットサービスのグローバル捜査オペレーションセンター(IGOC)も、60か国以上で1週間にわたる無料研修を実施し、仮想通貨を利用した詐欺や犯罪の特定と防止方法を現地の法執行機関に指導している。

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