ビットコイン35000ドル水準まで高騰、今年最大規模のショート・ロスカット発生の背景は?
マクロ経済と金融市場
23日の米NY株式市場では、ダウ平均株価は前日比190.8ドル(0.58%)安、ナスダック指数は34.5ポイント(0.27%)高で取引を終えた。
米国政府の財政悪化懸念もあり米長期金利が5.00%台まで上昇したことに伴い、リスク資産を押し下げていたが、長期金利は上昇を一服し下げに転じる場面では、米株式市場における買い戻しも入った。
イスラエルによるパレスチナ・ガザ地区侵攻が迫るなか、市場関係者も中東情勢緊迫化には神経を尖らせている。過去数週間では地政学的リスクの高まりを受け、原油高に。インフレリスクが懸念される一方、コモディティ市場では安全資産の金(ゴールド)が上昇している。
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仮想通貨市況
暗号資産(仮想通貨)市場では、ビットコイン価格は前日比12.6%高の1BTC=34,626ドル(約520万円)と高騰した。
週足レベルで重要な32,000ドルのレジスタンスライン(上値抵抗線)をブレイクアウトしたことで、同水準にロスカットラインを定めていたポジションが一掃された。大規模なショートスクイーズ発生で騰勢を強め、一時35,157ドルまで上昇した。
35,000ドルは、昨年5月に発生したテラ(LUNA)ショック及び暗号資産(仮想通貨)ヘッジファンドThree Arrows Capital(3AC)破綻で業界を震撼させる前の強気相場水準である。
ビットコイン(BTC)の高騰に伴い、暗号資産(仮想通貨)先物市場では、今年最大規模の踏み上げが発生し、2.8億ドル(410億円)相当のショートポジションがロスカット(強制清算)された。
CoinGlassによれば、10億ドルを超えるOI(未決済建玉)が消し飛んだ。
また、CryptoQuantの「Coinbase Premium Index」によれば、米最大手取引所コインベースでバイナンス・グローバル価格に対して+0.45%を超えるプレミアム(価格乖離)が発生するなど、米機関投資家による現物買い需要を示唆するデータも確認された。
上昇要因は
ビットコイン(BTC)高騰の背景として、デジタル・ゴールドとしてのリスクヘッジ的な資金流入や規制強化していた暗号資産(仮想通貨)関連裁判で米SEC(証券取引委員会)が劣勢に立たされていることなども指摘されるところだが、最も大きな材料はビットコイン現物ETF(上場投資信託)関連だろう。
24日には、最大手資産運用会社ブラックロックが米SEC(証券取引委員会)に申請する「iシェアーズ・ビットコイン・トラスト(iShares Bitcoin Trust)」が、Depository Trust & Clearing Corp.(DTCC)の管理する公式リストに登録されたことがわかり思惑買いが膨らんだ。
テクニカル的にも重要な心理的節目を突破したことから、2023年以降の底値圏からのトレンド転換が意識される。
DTCCは、証券取引の決済と清算、証券登録、および関連する金融サービスを提供する米国証券市場において重要な役割を果たすクリアリングハウスだ。クリアリングハウスは、金融取引のクリアリング(清算)および決済を仲介し、取引の効率的な実行とリスク管理を支援する組織やシステムのことを指す。
米SECの承認可否に直接影響するものではないが、承認が確実に迫っているというシグナルと捉える向きが強い。
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