中国の外貨管理局、仮想通貨による外貨交換に警告
仮想通貨による違法外貨交換に警告
中国の国家外貨管理局は24日、「暗号資産(仮想通貨)を購入して外国の法定通貨と交換する行為は違法である」と警告した。
同局は、2022年に発生した20億ドルを超える規模のマネーロンダリング事件を引き合いに出しているものとみられる。この事件は、総額約3,170億円(158億元)におよぶ地下銀行事件を警察が大規模摘発したもので、事件には仮想通貨の利用があった。
ある個人と関連する千件以上の口座で取引総額が約400億円(20億元)以上に上り、この口座には海外留学や複数回の短期出入国をしている人々が送金していた。
公安局が資金の流れを調査したところ、これらの口座の持ち主は仮想通貨の違法な売買を専門としており、海外の仮想通貨取引プラットフォームを通じて多額の資金をステーブルコインUSDTなどのトークンに交換するのを手伝っていたという。
仮想通貨を介して、違法両替サービスを提供していた形だ。また、中国の地下銀行とも取引を行っていたとされる。
青島市の警察は、USDTやライトコイン(LTC)など約4,000万円(200万元)相当の仮想通貨を押収。また、起訴のためにこの事件を検察に移送した。
外貨管理局青島支局の検査官は、次のように説明している。
地下銀行は顧客から人民元を集めた後にその資金で仮想通貨を購入し、海外の取引プラットフォームで仮想通貨を販売して、必要な外貨を調達している。
こうしたプロセスは人民元と外貨の交換を行うものであり、外貨の違法売買行為に当たる。
また、外為管理局検査部の副主任は、今後も地下銀行などの違法犯罪を厳しく取り締まり、外国為替サービスレベルの向上を促進していくと述べた。
中国は2021年に、仮想通貨の取引やマイニングの禁止を厳格化。今年10月にも中国人民銀行総裁が、違法金融の一環として「仮想通貨取引を徹底して取り締まる」と話したところだ。
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仮想通貨抜きのWeb3
中国元の安定性やデジタル人民元の開発を重視する中国は、ビットコイン(BTC)など仮想通貨を直接利用を禁じる一方、Web3領域に進出しようとする動きも垣間見える。
最近の動きとしては、中国の工業・情報化部が19日、NFT(非代替性トークン)や分散型アプリ(dApps)の開発を促進すると表明した。Web3を発展させるための戦略文書を作成し、今後の道筋を明確にするとも述べている。
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また、中央銀行デジタル通貨(CBDC)であるデジタル人民元の開発・実証実験を活発に行っており、10月にはペトロチャイナ・インターナショナルが、初めてデジタル人民元による原油取引を実施している。
CBDCとは
各国・地域の中央銀行が発行するデジタル化された通貨を指す。「Central Bank Digital Currency」の略である。仮想通貨との大きな違いは、CBDCは法定通貨であること。通貨の管理や決済等においてコスト削減や効率性向上が期待できる一方で、個人情報やプライバシーの保護、セキュリティ対策、金融システムへの影響など考慮すべき課題は多い。
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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します