「仮想通貨による投機を抑制」
中国人民銀行の潘功勝総裁は、中国全人代常務委員会・第6回会議に出席し、「国務院の財政活動に関する報告」という文書を発表した。その中で、暗号資産(仮想通貨)取引にも言及。投機活動を抑制していくと述べている。
この項目は、「違法な金融行為を厳しく取り締まる」という目標の中で挙げられた。資産管理会社などのリスク是正を行うと共に、違法な資金調達・マネーロンダリング(資金洗浄)対策や、「仮想通貨取引などの投機活動」を徹底して取り締まる姿勢を改めて示した。
潘総裁は、国有大手銀行を経て、2012年より人民銀行副総裁を務めていた。今年7月に人民銀行総裁に就任している。以前よりビットコイン(BTC)に対して批判的な発言をしてきたことで知られており、業務でフィンテックや仮想通貨の取締りも行ってきた。
中国は、中央銀行デジタル通貨(CBDC)であるデジタル人民元については積極的に計画を進めているが、ビットコインなど民間の仮想通貨については厳しく取り締まってきた。潘総裁の発表は、こうした方針が続くことを示している。
規制を回避する人々
中国では仮想通貨の取引やマイニング(採掘)活動が禁止されているが、それでもこうした規制をかいくぐって取引を続けている人々がいる現状が示唆されているところだ。
ブロックチェーン分析会社Chainalysis(チェイナリシス)が9月に発表した2023年版「グローバル仮想通貨採用指標」では、草の根で人々が仮想通貨を採用している国として、中国が11位にランクインしていた。
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また、仮想通貨取引所Bitgetは、2023年5月から2023年8月にかけて世界の仮想通貨投資家に調査を実施している。この結果によると、ヨーロッパ、中国、日本、韓国、トルコおよび一部の英語圏諸国のうち、投資額が一番多かったのは中国だった。
中国の仮想通貨投資家については、18%が740万円から1,490万円、19%が1,490万円以上を、仮想通貨に割り当てていた形だ。
中国人投資家は、VPN接続などにより規制を回避しているとみられる。また、中国の国外に在住している中国人には、仮想通貨取引の禁止は適用されていない。
関連:「仮想通貨投資の主な目的は生活水準向上」Bitgetレポート
中国は、2021年5月にマイニング禁止令を出しており、その後世界のビットコインハッシュレートに占める割合は激減した。英ケンブリッジ大学オルタナティブ金融センターのデータによると、禁止令直後は、ほぼゼロへ低減している。
しかし、2022年1月時点では米国に続いて2位に返り咲いていた。グローバルハッシュレートの半分以上を占めていた以前からは落ちているものの約21%を占めていた形だ。なお、今年のデータはまだ発表されていない。
関連:ビットコインの世界採掘シェア、中国が2位に返り咲く=英ケンブリッジ大学
ハッシュレートとは
マイニングの採掘速度のこと。日本語では「採掘速度」と表現される。単位は「hash/s」。「s」は「second=秒」で、「1秒間に何回計算ができるか」を表す。マイニング機器の処理能力を表す際や仮想通貨のマイニングがどれくらいのスピードで行われるかを示す指標として用いる。
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デジタル人民元を推進
中国は、政府のデジタル通貨であるデジタル人民元を2014年より開発しており、2020年後半より、中国各地で市民によるショッピングキャンペーンなどの形で大規模な実証実験を行っている。
7月には香港でも、デジタル人民元によるショッピングフェスティバルが開催された。