イーサリアムの2024年ロードマップ、共同創設者ブテリン氏が共有

エコシステム開発の柱

暗号資産(仮想通貨)イーサリアムの共同創設者ヴィタリック・ブテリン氏は、イーサリアム・ブロックチェーンの最新版ロードマップを公開。2024年のエコシステム開発で中核となる6つのコンポーネント(構成要素)について概説した。

ロードマップに示されたコンポーネントとその目標は以下の通り。

  • マージ(Merge):堅牢で分散化されたPoS(プルーフ・オブ・ステーク)コンセンサス
  • サージ(Surge):10万TPSの実現
  • スカージ(Scourge):イーサリアムのPoS集中化に対抗(主にMEVとリキッドステーキング)
  • ヴァージ(Verge):ブロック承認の簡素化
  • パージ(Purge):プロトコルの更なる簡素化
  • スプラージ(Splurge):その他すべて

ブテリン氏は、イーサリアムの技術的な道筋が固まりつつあるため、昨年のロードマップからの変更点は比較的少ないと指摘した上で、各コンポーネントにおける重要な点について説明した。

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弱点の改善

マージでは、2022年9月に完了したPoSコンセンサス移行後のステップとして、シングルスロットファイナリティ(SSF)の導入が挙げられている。SSFでは取引確定(ファイナライズ)までのプロセスが短縮される。

ブテリン氏は、「SSFがイーサリアムのPoS設計の現在の弱点の多くを解決する、最も容易な道であることが明らかになりつつある」と述べ、SSFがPoS改善に果たす役割へ期待を寄せた。

また、スケーリングに関するコンポーネントであるサージでは、ロールアップ及びEIP-4844(Proto-Dankshardingの実装)で大きな進歩が見られたと指摘。クロスロールアップ標準と相互運用性については、長期的に改善の余地があるとした。

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集中化に対抗

イーサリアムのリキッドステーキングでは、最大プロバイダーであるLido Financeがステーキングされたイーサリアムの3割超を管理しているという状況があり、集中化に対する懸念が高まっている。

スカージは、「PoSにおける経済の集中化に対抗する」という目標に変更され、主にMEV(最大抽出価値)とステーキング・プロバイダーの問題に注力するという。

ブテリン氏は昨年、ステーキングでノードが集中化されている状況は健全ではないと指摘しており、ステーキングの再設計計画に言及していた。

関連:イーサリアム共同創設者ブテリン「ステーキングメカニズムには大規模な刷新が必要」

リキッドステーキングとは

仮想通貨のステーキング金利を受け取りながら、その代替資産(ステーキング証明トークン)を運用できるDeFi(分散型金融)の仕組み。従来はロックアップされてきた資産の流動性(Liquidity)を解放できる利点がある。最大のサービスプロバイダーLido Financeでは、ETHをステークして債権トークンstETHを受け取り、レンディングの担保としたりDEX(分散型取引所)等で運用できる。

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ブロック承認とプロトコルの簡素化

ヴァージでは、証明データのサイズを圧縮するVerkle tree(数学的証明)の導入の準備が整いつつあり、大きな進展が見られたとブテリン氏は述べた。

また、新たなロードマップからは「L1ガス制限の引き上げ」が削除され、「ステートの有効期限」の短縮も行われた。

ブテリン氏は昨年末、PoSの合意形成の仕組みについて、1スロットあたりの署名数の削減などで簡素化する提案をおこなっている。

関連:イーサリアムの共同創設者ブテリン氏、合意形成の簡素化を提案

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