仮想通貨取引所Bybit、在外中国人にサービス提供開始 憶測呼ぶ

禁止から許可へ方針転換

暗号資産(仮想通貨)取引所Bybitは6日、在外中国人ユーザーが、アカウントを開設してサービスを利用できるようになったと公式に発表した。

この発表に先立って5日、Wu blockchainが中国人ユーザーもBybitに登録できるようになっていると指摘していたところだ。Bybitはこれまですべての中国人ユーザーの登録を厳格に禁止していた。

Bybitは中国国外に居住する中国人へのサービス提供について、次のように声明を出した。

取引量で世界トップ3の仮想通貨取引所の一つであるBybitは、海外の中国人コミュニティへとサービスを拡大できることを嬉しく思う。

この動きは、在外中国人や在外中国人コミュニティの間で、安全で信頼性が高く、ユーザーフレンドリーな仮想通貨取引プラットフォームに対する需要が高まっていることに応えるものだ。

在外中国人ユーザーは、他のユーザーと同じサービスを受けられるとも続けた。さらに、事業を展開する地域で引き続きすべての規制を遵守していくこと、将来的には香港、アラブ首長国連邦(UAE)、EUでも事業を展開したいとしている。

今回の発表を受けて、仮想通貨ユーザーの一部では、中国の仮想通貨に対する姿勢が軟化しているのではないかという憶測が浮上しているが、実際のところは不明だ。

Bybitの事業が最近急速に成長していることから、さらなる成長を狙ってサービス提供地域の拡大を行ったと見る向きもある。

中国では仮想通貨取引やマイニングが禁止されている。そうした中でも、中国人投資家は規制をかいくぐって仮想通貨を購入していると伝えられるところだ。

特に今年1月には、深刻な中国株式市場の低迷を受けて、仮想通貨に軸足を移す投資家が増加していると報じられた。中国の投資家は、人民元をステーブルコインに交換したり、VPN接続や対面方式のP2P(ピアツーピア)取引などにより仮想通貨にアクセスしているとされる。

関連: 仮想通貨に軸足移す中国人投資家相次ぐ、深刻な中国株低迷を受け=報道

一方、中国政府は、国境を超える性質のある仮想通貨のもたらすリスクに対処するためマネーロンダリング防止法の改正草案を議論している。

関連: 中国政府、仮想通貨のマネロンに対処して法改正へ

P2Pとは

専用のサーバーを介せず、接続されたコンピューター同士がコミュニケーションするネットワーク形態のこと。

▶️仮想通貨用語集

香港でのライセンス申請は取り下げ

Bybitは、香港の現地法人であるSpark Fintech Limitedを通じて、香港で仮想通貨取引所を運営するための申請書を提出していた。しかし5月31日、香港での登録申請を取り下げたと発表している。

香港では仮想通貨取引が禁止されていないが、Wu blockchainがライセンス申請企業からの情報として伝えるところによると、香港当局は中国本土のユーザーにサービスを提供しないことを約束させているとされる。

関連: 中国資産運用会社による香港でのビットコインETF上場申請が急増

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用
「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します

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