「機関投資家と仮想通貨」実際の温度感は? 金融情報大手リフィニティブに取材敢行

仮想通貨:金融情報大手に聞く機関投資家の動向
トムソン・ロイターのファイナンシャル&リスク部門を前身とする世界的な金融情報大手・リフィニティブは、昨年5月から仮想通貨の価格情報の提供を行なっている。同社の顧客である機関投資家などの反応を聞いた。

18年9月からリアルタイム・レーツを提供

健全な市場の形成に、機関投資家の果たす役割は大きい。仮想通貨のマーケットでも同様だ。

仮想通貨の情報の送り手の立場からみた、機関投資家の動向について、トムソン・ロイターのファイナンシャル&リスク部門を前身とする世界的な金融情報大手・リフィニティブに聞いた。

配信されているリアルタイムのデータは、日本国内では主要取引所で取り扱われている6通貨で、投資家向け市場の効率性と透明性を高めるのに寄与すると同社は期待しているという。

「仮想通貨の取引が行われ、中立的な立場から判断してもマーケットが存在しているのは確かだと考えレート情報の取り扱いをはじめた。レートに対するアクセスがリフィニティブを通じて容易になることで、市場インフラとして機能すれば良いと考えた」とコインポストの取材に対し、リフィニティブ・ジャパン市場開発担当部長の宗川雄視氏は話した。

同社の顧客は世界190カ国にいるというが、それぞれの国で仮想通貨への対応や状況は異なるため、対応に差はあるものの、仮想通貨の情報に関してはグローバルで取り組んでいると言う。

では、機関投資家など企業や専門家は、仮想通貨をどのように位置付けているのだろうか。

関心は高まっているが、機関投資家の多くは懐疑的

サービス開始から1年あまり、同社への問い合わせが増加、関心の高まりは実感しているというものの、「多くの機関投資家は仮想通貨に対しては懐疑的で、まったく受け入れがたいものとみなしている可能性さえある」同社の持続的投資・ファンド格付け責任者、レオン・サンダース・カルバート氏はこう指摘する。

仮想通貨には、国家による裏づけやガバナンスが欠けているほか、金融犯罪や詐欺、マネーロンダリングなどと関連している恐れがあることから、運用責任者が仮想通貨市場に本格的に関与するまでには大きな障害を乗り越える必要がある、というのだ。

そうした機関投資家の意識に、変化の兆しは見られるのだろうか。カルバート氏は語る。

変化は遅々としているが、個人投資家の仮想通貨への反応は素早く、機関投資家内の組織でも部署やチームとしてこうした通貨に注目する動きは出始めている。

リフィニティブには、「市場心理指数」という商品がある。リアルタイム・レーツとは違うサービスで、さまざまな金融資産をカバーしているが、その中には仮想通貨も含まれていて、170余りの通貨をカバーしているという。個人投資家の関心に答えることができるサービスと言えるだろう。

ただし、仮想通貨に関連する財政面とコンプライアンスのリスクを考慮すると、一般的な市場に受け入れられるようになるまでにはまだ時間がかかりそうだ、とガルバート氏は主張する。

バーゼル銀行監督委員会(BCBS)が「暗号資産(仮想通貨)について、金融機関に注意喚起をし、ガバナンスとリスク管理の必要性を訴えていることを念頭に置くべきだ。」とするように、機関投資家の慎重な対応には、そうした背景もあるというのだ。

そしてあくまでも一般論であるとした上で、仮想通貨が投資アセットとして定着するためにはある程度時間を要するのではないかと話す宗川氏だが、リフィニティブでは、今後も株式、債券や為替など、他の金融資産同様に仮想通貨に関する情報提供に努めていこうと考えていると、今後も取り組みを継続していく意向を示した。

情報を提供する側からみた、機関投資家の動向は興味深いが、今後どのように変化していくのかに注目しておきたい。

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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します

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