
純利益も大幅増加
米暗号資産(仮想通貨)マイニング大手のMARA Holdings(以下、マラソン)は29日、2025年第2四半期(4~6月)の決算報告を行った。売上高が前年同期比64%増の2億3,850万ドル(約355億円)となり、過去最高の四半期売上高を達成している。
純利益は前年同期の1億9,970万ドル(約297億円)の損失から、8億820万ドル(約1,200億円)の収入へと大幅に増加した。
また、7月以降はビットコイン(BTC)保有数が5万BTCに到達し、転換社債発行により流動性が60億ドル(約8,900億円)を超えたとも報告している。
マラソンは保有するビットコインから利回りも生み出しているところだ。Two Primeの機関投資家向けビットコイン利回りサービスへ2,000BTCを預けている。
6月30日現在で、15,550BTCをレンディングやアクティブ運用、または担保として活用。このように保有資産の一部を運用することで、事業資金の調達、インフラ拡張、資本コストの削減を目指していると述べた。
5月には、新規データセンターの運用効率の向上を目的として、G NOVAが出資するベンチャー企業PADO AI Orchestration(PADO)と提携を開始。PADOは電力需要を正確に予測できるよう設計されたプラットフォームを提供している企業だ。
6月には、電力負荷管理システムを提供するTAE Power Solutionsとの戦略的提携も発表している。協力して、ギガワット規模まで展開可能な高周波・リアルタイム応答型の負荷管理システムの開発を進めていく。
ビットコイン財務戦略企業が増加するリスク
マラソンのフレッド・ティールCEOは29日、あまりにも多くの企業がビットコインの蓄積に走ると、ビットコイン価格に下押し圧力がかかる可能性があると意見した。マラソンは、自社も上場企業の中でストラテジー社に続いて多くのビットコインを保有している。
ティール氏は、純資産価値比率(mNAV)が1あるいはマイナスになった場合、ビットコインを保有している企業はそれを売却せざるを得なくなるだろうと述べた。このことが市場でビットコインの売り圧を加速させる可能性を指摘する格好だ。
mNAVとは
企業の株価がその純資産価値に対してどの程度のプレミアムまたはディスカウントで取引されているかを示す指標。これが1.0を超えている場合、株価はプレミアム(割高)であり、1.0未満の場合は、ディスカウント(割安)だとみられる。
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過去には、2022年から2023年の弱気相場でビットコインが最高値から80%下落した際、ストラテジー社のmNAVプレミアムが崩れたことがある。
仮想通貨ベンチャーキャピタル企業Breedは、ストラテジー社などよりも規模が小さい新参のビットコイン財務戦略企業の場合、弱気相場が訪れた際の資金調達のハードルが上がり、リスクが大きくなると指摘していた。
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ティールCEOは、マラソンが他のビットコイン・トレジャリー(財務戦略)企業とは異なる点を強調。同社が保有するビットコインの大部分は、購入ではなく、マイニングによって調達されたものだと指摘している。
自社マイニングで取得する場合、市場で購入するよりもコストが抑えられる。ビットコイン価格が低迷してもマイニングによる蓄積を継続できるなどのメリットも考えられるところだ。
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