WebX完全ガイド
TOP 新着一覧 取引所 WebX
CoinPostで今最も読まれています

「量子コンピュータは脅威だが仮想通貨業界は対処可能」ユーロポールが予防策提示

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

この記事のポイント
  • ハッシュ関数は量子耐性が高いと見解
  • 最大リスクはウォレットや公開鍵暗号の脆弱性

量子コンピュータに対処する方法を提案

欧州刑事警察機構(ユーロポール)の欧州サイバー犯罪センターは7日、「量子コンピューティングと仮想通貨」というタイトルの報告書を公開した。量子コンピュータは現実的な脅威ではあるものの、対処可能だと論じている。

暗号資産(仮想通貨)システム全体の崩壊よりも、業界が先を見越して適応していくことが最も起こりそうなシナリオだとの見解を示した。一方で、段階的な防御・ポスト量子システムへの移行活動が必要だと指摘した。

まず、レポートはハッシュ関数に基づくブロックチェーン基盤自体には比較的、量子耐性が備わっていると評価している。ブロックの接続やプルーフオブワーク(PoW)、プルーフオブステーク(PoS)の合意形成を支えるハッシュ関数については、ハッシュ長などを確保することで耐性を維持できると述べた。

その上で、最大のリスクとなるのは、ウォレットや公開鍵暗号の脆弱性だと指摘している。量子コンピュータのアルゴリズム「Shor(ショア)」により、公開鍵から秘密鍵を効率的に導き出すことが可能になるためだ。

楕円曲線暗号(ECC/ECDSA)やRSAという方式に依存している仮想通貨ウォレットの鍵が破られ、資産の盗難や未承認送金が行われることが最大のリスク発生ポイントだとした。

解説記事:仮想通貨の量子コンピュータ対策【2026年】主要5銘柄の最新動向を解説

量子コンピュータが仮想通貨の暗号を解読するリスクとは何かわかりやすく解説。ビットコイン(BTC)をはじめ、ETH・XRP・SOL・BNBの量子コンピュータ対策状況を一覧で整理。50万物理量子ビット基準や各ロードマップの違いを、初心者にもわかるよう解説します。

短期的・根本的アプローチは?

レポートは、安全なエコシステムに向けた対策も提案。まず、短期的には漸進的なアップグレードなどを挙げた。アカウント抽象化、ゼロ知識証明(ZK-STARKs)の活用、定期的なアドレスのローテーション(取引を行うたびに新しいアドレスを生成して使い捨てる)などを通じて公開鍵の直接露出を抑えるものだ。

一方で、すでに公開鍵がブロックチェーン上に露出しているウォレットについては技術的な対応が不可能なため、量子攻撃が実用化する前に資金を新しいアドレスに移行させることが不可欠だと述べる。

また、根本的アプローチとしてはポスト量子暗号(PQC)の採用を挙げた。米国NISTが標準化した格子署名やハッシュベース署名などへの移行を推奨している。

その際の課題としては、署名サイズが10〜120倍に増大することによるブロックチェーンの混雑・手数料上昇や、分散型ガバナンスにおける合意形成、大規模移行時のダウンタイムなどを挙げた。

なお、格子署名についてはイーサリアム(ETH)共同創設者のヴィタリック・ブテリン氏が先日、AIによる数学研究の加速により安全性が2年以内に損なわれる可能性があると発言していたところだ。

関連記事:ヴィタリック氏「慌てて資金を移すのは勧めない」 AIの暗号解読リスクで

イーサリアム共同創設者のヴィタリック・ブテリン氏が、AIによる数学研究の加速で格子暗号やML-DSAの安全性が想定より早く損なわれる恐れがあると指摘。ハッシュ型署名の優先や未使用アドレスでの保管を勧めつつ、資金移行時のミスにも注意を促した。

政策的な推奨事項

レポートは政策的な推奨事項も提案。政策決定者や規制当局に対しては、量子技術の進展について正確な情報を得られるようにすることに加え、PQC移行に向けた明確なガイドライン策定や、業界の連携にインセンティブを与えることが求められるとしている。

中央銀行デジタル通貨(CBDC)についても、ブロックチェーンセキュリティや量子リスクへの脆弱性について注視・評価が必要だと述べた。

また、ブロックチェーンプロジェクトやウォレット提供者などの事業者は、PQCアルゴリズムの早めの導入や評価を行い、ユーザーに対してもリスク啓発と量子耐性ウォレットへの移動を促す必要があると続けた。

7日にはイーサリアム財団のジャスティン・ドレイク氏も、オープンAIによる高度な数学的成果の発表などを背景に、特に仮想通貨の大規模保有者に対して、まだ公開鍵が露出していないアドレスへ資金の大半を移動させる予防的措置を推奨している。

関連記事:「数学的超知能」による秘密鍵復元リスクへの備え呼びかけ イーサリアム財団ドレイク氏

イーサリアム財団のドレイク氏が、AIの数学的進展でECDSA暗号が破られる事態に備えることを提言した。特に大口保有者には新アドレスへの冷静な移行を推奨している。

Google Newsでフォロー
CoinPost App DL
厳選・注目記事
注目・速報 市況・解説 動画解説 新着一覧
10/09 金曜日
13:45
JPYC、公取委に情報提供──「決済導入店の割引は消費者利益」
JPYCは9日、ステーブルコイン決済の登場を踏まえ、9月14日に公正取引委員会へキャッシュレス決済市場の競争環境を情報提供したことを明らかにした。導入店の割引・送料無料と加盟店規約の関係についての考え方も公表した。
13:30
ネットフリックス、FTX破綻を描く新作ドラマ「アルトリスト」の予告編公開 
Netflixは10月8日、FTX破綻を描く新作ドラマ「アルトリスト」の予告編を公開した。FTXの元CEO、サム・バンクマン=フリード氏とキャロライン・エリソンの関係を軸にした全8話で、配信は11月19日に予定されている。
12:55
「量子コンピュータは脅威だが仮想通貨業界は対処可能」ユーロポールが予防策提示
ユーロポールは仮想通貨の量子脅威に関するレポートを発表。主なリスクはブロックチェーン自体ではなくウォレットの公開鍵暗号にあると指摘。耐量子暗号への段階的な移行を提言した。
12:06
金融庁、書類画像の漏えい受けIC読取前倒しを要請 暗号資産交換業者も
金融庁は9日、本人確認書類の画像を含む顧客情報の漏えいが相次いでいることを受け、金融機関等に対策の点検を要請した。2027年4月の画像送信方式廃止を待たず、ICチップ読取への移行を前倒しするよう求めた。暗号資産取引所の口座開設にも影響する。
11:45
ビットコインコア、送信元を隠す機能の修正を次期版に反映|現行版は未反映
ビットコインコアは、オプション機能のプライベートブロードキャストの接続が通常の接続と関連付けられうる問題の修正を、10月1日に32.x系へ反映した。31.x系向けの反映は未了で、リリース日は決まっていない。
11:35
バイナンス、ブラジルで22の仮想通貨銘柄取引を終了|規制対応で8サービスも制限
バイナンスは9日、ブラジル中央銀行の新たな仮想通貨規制に対応するため、10月27日からブラジルサービスでXVGを含む22銘柄の取引を終了し、ローンを含む8サービスを制限すると発表した。対象ユーザーは10月29日までに現地法人へ移行される。
11:08
トークン化株式取引の約8割が1株未満、IMFが拡大条件を分析
国際通貨基金(IMF)は8日、資産トークン化の拡大に必要な条件を分析した。法的確実性や規制の明確化、相互運用性、決済資産の4点を挙げ、レポ中心の市場規模やトークン化株式の取引実態、拡大に伴うリスクを示した。
10:16
財務省、国債オンチェーン化の3類型を提示 新形態の国債発行も類型に
財務省は8日、国債のオンチェーン対応に関する研究会の初会合で国債トークン化の3類型を示した。MMF受益権の授受から日銀の振替口座簿の対応、制度外での新形態の国債発行まで含む。BUIDLなど海外事例も整理した。
10:05
ビットコイン採掘事業者による売り圧力は緩和傾向=クリプトクアント
クリプトクアントは8日、仮想通貨市場の週間レポートを発表。ビットコイン・マイナーをめぐる収益などの状況が回復し売り圧力が和らいだと分析している。
09:38
AI銘柄NEAR、7〜9月に約3倍上昇 ビットワイズCIOが事業性を評価
米ビットワイズのホーガンCIOは7日、AI向けブロックチェーンを掲げるNEARを分析した。クロスチェーン取引基盤Intentsの累計取引高は300億ドルを超え、今年の手数料収入は約4,500万ドルの見込み。AI以外の事業性を評価する理由を読む。
09:32
アプトス財団、2.1億APTトークンを売却せず永久ステーキング
アプトス財団は9日、2022年のメインネット開始時に保有していた量の約37%にあたる2.1億APTのアプトスを永久にロックし、売却せずステーキングし続けると発表した。流通量の18%近くに相当する量だ。
08:15
EU当局、MiCA非準拠ステーブルコインのサービスを排除へ
欧州証券市場監督局は、仮想通貨規制MiCAに非準拠のステーブルコインを含むサービスを排除する方針を示した。法的拘束力はないが、USDTなどが非準拠であることから注目を集めている。
08:05
JPモルガン試算、仮想通貨流入は今年約500億ドル|第4四半期に勢い
JPモルガンは7日、仮想通貨への今年の資金流入が約500億ドルに達したと試算した。年率換算の約660億ドルは前年のペースの約半分だが、現物ETFと先物の増加で第4四半期に向けた流入の勢いが生まれているとしている。
07:50
米投資銀行、ビットコイン年末予想を9.7万ドルから10.9万ドルに引き上げ
米投資銀行TDコーウェンは8日、ビットコインの2026年末予想を約10.9万ドルに引き上げ、2029年までに28万ドルと見込んだ。ストラテジーの目標株価は260ドルに据え置き、希薄化が株主の利益を抑えるとみている。
07:10
SBI・マネーフォワード・メッシュ3社が新会社設立で基本合意、デジタル資産決済を簡素化へ
SBIホールディングス、米メッシュ・コネクト、マネーフォワードが7日、デジタル資産の購入・送金・決済を簡素化するための日本合弁会社設立で基本合意した。2026年までの設立を目指し、資本金は1億円、メッシュが60%を出資する予定だ。
今から始める仮想通貨特集
通貨データ
重要指標
一覧
新着指標
一覧