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給付金にステーブルコイン活用も 金融庁会合で各省が検討状況を報告

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用

この記事のポイント
  • 国債の研究会が10月始動、アジアデー2027は2月開催予定
  • 日銀当預トークン化や基盤の海外依存に有識者が言及

初会合で各省庁が取り組みを報告

金融庁は19日、9月30日に開いた「AI時代を見据えたオンチェーン金融フォーラム」第1回会合の議事録を公表した。座長の片山さつき内閣府特命担当大臣(金融)のもと、デジタル庁や財務省、日本銀行、全国銀行協会(全銀協)が出席。2027年初めに中間整理と官民連携のロードマップをまとめる方針を確認した。

事務局を務める金融庁の堀本資産運用・保険監督局長は、プログラマビリティを生かした実取引と一体の展開、オンチェーン決済とオフチェーン決済のベストミックス、決済基盤としての安定性・安全性の3点を重視すると説明した。会合資料は、ステーブルコインの発行残高を約3,100億ドルとし、うち83%をドル建てが占めると示している。

国際決済銀行(BIS)が調べた90法域では、約3分の1で商業銀行がトークン化預金に取り組んでいる。金融庁の決済高度化プロジェクト(PIP)による支援は4件に達し、9月29日には貿易実務へのステーブルコイン活用を4件目として発表した。

デジタル庁の蓮井戦略・組織グループ統括官は、子育てや食料品など使途を限った給付にステーブルコインやトークン化預金を使えるか、技術面から検討すると表明した。ステーブルコインの金銭に準じた利用可能性など諸法令上の扱いも整理し、今後始まるAIデジタル改革推進会議で省庁横断的に議論する。財務省の阿久澤理財局長は、国債のオンチェーン対応を議論する有識者研究会を10月に始めると報告し、同研究会は10月8日に初会合を開いた。

日銀の神山理事は、日銀当座預金をブロックチェーン上の決済に使うための技術検証「DLT連携サンドボックス」を進めていると説明。全銀協の黒澤企画委員長は、幅広い金融機関が参加できる仕組みや次世代の銀行間決済基盤に求められる役割などを協議する検討会を立ち上げたと述べた。国際連携では金融庁の飯塚審議官が、アジアの官民が集う政策対話の枠組みづくりに向け、2027年2月に「アジアデー2027」を開く意向を示した。

関連記事:金融庁、デジタル金融施策に約13.3億円を予算要求 前年度の15倍

金融庁は2027年度概算要求で、デジタル技術を用いた金融サービスの変革に13億2,765万円を計上した。前年度当初の約15倍で、オンチェーン金融の利活用やデジタル決済と連携した決済システムの構築促進を掲げる。暗号資産業者の監督体制も増員を求める。

有識者、「鶏と卵」の解消へ小さく始める重要性指摘

元日銀で大口資金決済の企画に携わったブランズウィック・グループの宇井理人氏は、インフラが整わないためユースケースが出ず、ユースケースが見えないためインフラも進まない「鶏と卵」の問題が続いてきたと指摘した。国が関係省庁を集めて施策を包括的に進める意義は大きいとしつつ、個別施策は小さく始め、検証しながら育てる必要があると述べた。

東京大学の神田秀樹名誉教授は、オンチェーンとオフチェーンのベストミックスの最適解は日々動く「ムービングターゲット」だと強調した。名古屋商科大学大学院の大槻奈那教授は、AIの暴走などのリスクをストレステストで押さえたうえで、過度なゼロリスク志向に陥らないよう求めた。

PwC Japan有限責任監査法人の鈴木智佳子氏は、プログラムに統治を委ねる仕組みはブラックボックス化しやすく、利用者の不安を招く「信頼の空白」が生じると説明。取引からKYC、決済までをエンドツーエンドで追跡でき、監査・検証に耐える証跡を残す枠組みづくりを提言した。

日銀当預トークン化と海外依存

東洋大学の野崎浩成教授は、完成度の高い既存システムほど置き換えが難しいと分析した。日本取引所グループ(JPX)が主導したポストトレードのDLT実証「B-POST」が実装に結びついていない例を挙げ、恒久的な仕組みとしては日銀当座預金のトークン化が最も実効性が高いとの見方を示した。

早稲田大学大学院の根本直子教授は、金利正常化で企業の待機資金を減らすニーズが高まっている点を追い風とみる。海外大手が実用段階に入るなか、国内銀行が出遅れれば日本やアジア企業の決済業務が海外へ移るおそれがあるとした。上智大学の森下哲朗教授は、AIやブロックチェーンのコアとなる部品を海外に依存したままでよいか精査すべきだと問題提起した。

欠席した日本総合研究所の翁百合シニアフェローは意見書を寄せ、AIエージェントが正当な決済主体であることを認証する仕組みの検討を求めた。SIMを使った堅牢な認証基盤を持つ大手通信キャリアの取り組みなど、フォーラム外の知見を参考にすることも検討に値するとした。

関連記事:暗号資産ETF 日本解禁へ|金商法改正で何が変わる?対象銘柄・NISA・スケジュールを徹底解説【2026年】

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