- 3メガバンクなど69組織が2026年5月から検討
- 清算機関外のレポで決済を24時間化する案、既存契約は維持
- 11月の実機検証開始を目指し、カントン上に試験環境
中間整理を公表、実機検証へ移行
Progmat(プログマ)が主催するデジタルアセット共創コンソーシアム(DCC)は22日、「トークン化国債・オンチェーンレポ ワーキング・グループ(WG)」の検討結果を中間整理として公表した。
日本国債をブロックチェーン上で扱い、トークン化預金(TD)やステーブルコイン(SC)で資金をやり取りするレポ取引を、国内で実現するための方法をまとめている。
WGは2026年5月から9月までの第一期「机上検討」を終え、実際のシステムを動かす第二期「実機検証」に移る。事務局のProgmatは、規制対象の金融市場向けに設計されたブロックチェーン「カントン・ネットワーク(Canton Network)」の試験用ネットワーク上に、サンドボックス環境(本番に影響を与えずに試せる環境)を用意する。
環境内では検証用のトークン化国債やTD・SCを発行できるほか、国内外のレポ取引・担保管理の基盤とも順次接続する予定だ。カントンは検証用の基盤で、商用化の段階では複数のブロックチェーンの併用を前提としている。第二期は連携準備が整い次第、11月にキックオフし、2027年春に改めて中間整理を公表することを目標とする。
Progmatの齊藤達哉代表はCoinPostの取材に対し、実機検証で最も確かめたいこととして「国内外の金融事業者・機関投資家にとって、トークン化国債を用いたオンチェーンレポの取り組みは経済合理性が見込まれるのか?」という問いを挙げた。
同氏は「当局や振替機関を巻き込み業界を挙げてオンチェーン金融を推進するにあたり、最も必要となる市場参加者の解像度・腹落ち感が得られるかを確かめたい」と続けた。

トークン化国債WGの全体スケジュール(出典:Progmat)
WGには3メガバンクや日本生命保険、ブラックロック・ジャパン、大和証券など69組織が参加した。レポ取引は国債などを担保に短期間お金を貸し借りする取引で、中間整理によると国内の国債レポ市場は2024年末時点で250兆円を超える。
現在の国債決済は日本の日中に処理が集中し、ロンドンやニューヨークの投資家は前営業日のうちに指図を確定させる必要がある。中間整理は、24時間動く仕組みと連動させれば、海外投資家の取引機会が広がる可能性があるとしている。
関連記事: Progmatが描く日本国債のオンチェーン化、24時間365日レポ取引の実現へ
5月の検討開始時に齊藤代表が解説した、振替国債に紐づく権利をトークン化し、レンディングプロトコルで貸し借りする構想をまとめている。
法的性質を保ちオンチェーン管理へ
日本国債は現在、紙の券面を発行せず、日本銀行や銀行、証券会社の帳簿に記録することで売買や移転を管理している。WGは、この仕組みを残したまま、金融機関がブロックチェーンと連動する「オンチェーン管理口座(仮称)」を新たに設ける方式を主案とした。
5月の検討開始時には、齊藤代表が振替国債に紐づく権利をトークン化する方式に重点を置くと解説していたが、WGは法律・税制・実務への影響から、この方式は採用可能性が低いと評価した。
投資家が国債をオンチェーン管理口座に移すと、ブロックチェーン上でトークンが発行される。取引の際はトークンをいったんロックし、口座の記録を書き換えた時点で権利が移る仕組みで、トークンの移転はその後に完了する。国債としての法的な性質は変えず、記録の管理方法だけを切り替える考え方だ。
導入はまず、日銀に直接口座を持つ1つの金融機関と、その配下の口座の間で完結する取引から始める想定だ。日銀に口座を持つ金融機関どうしをまたぐ取引は国債の振替を担う日銀のシステムとの連携が必要になるため、その方式も並行して検討するとしている。
帳簿の記録にブロックチェーンを使うこと自体は制度上排除されていないが、日銀の業務規程との整合は実用化の前に日銀や当局と確認する必要があるという。今回の方式は、あくまでWGとしての主案という位置づけだ。
レポは取引後の手続きをオンチェーン化へ
オンチェーンレポについてWGは、DeFi(分散型金融)のようにスマートコントラクト(自動実行プログラム)が資産を預かって貸し借りを自動で行う仕組みは採らないとした。既存の取引の場や契約を変えると、今のレポ市場の参加者に受け入れられにくいためで、関わる事業者に清算機関と同じ金融商品債務引受業の免許が必要になるおそれも挙げている。
オンチェーン化の対象は、清算機関を通さず当事者同士で決済する取引だ。中間整理が日銀の調査を基に示した資金調達側の残高では、約4割がこれにあたる。今の取引の進め方と契約は残したまま、取引成立後の確認や決済をブロックチェーン上で自動化し、数時間単位の取引を24時間365日、繰り返し処理できるようにする考えだ。

実機検証用サンドボックス環境の構成(出典:Progmat)
日銀に当座預金を持つ多くの国内金融機関は、日銀から日中の資金を無利息で借りる仕組み(日中当座貸越)を使える。WGは、これを利用できない保険会社やファンド、日銀に口座を持たない海外の金融機関の取引や、日銀の決済システム(日銀ネット)の開局時間外にあたる夜間などの取引で効果を確かめる。
関連記事: MUFG、国債レポのオンチェーン化実証へ カントン基盤を活用
MUFGグループがWGとは別に、カントン・ネットワーク上で進める国債レポのオンチェーン化実証の内容を報じている。



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