高騰のイーサリアムは明日控える次世代チェーンを材料視、ビットコイン早期回復で強気の「市場心理」衰えず
仮想通貨市場とBTC(ビットコイン)
30日の暗号資産(仮想通貨)市場。 ビットコイン(BTC)価格は、前日比+4.4%の192万円(18,500ドル)と上昇した。
26日には、短期的な急騰の反動とデリバティブ市場の過熱感などから、史上最高値目前の19,500ドルから16,200ドルまで17%暴落。同時期には、大口投資家を示す「クジラ」による売り圧力も確認されていた。
しかしその後、28日までに下げ止まると、横軸の日柄調整が不十分とみる市場想定よりも早い段階で大きく切り返し、強気トレンド継続を示唆した。
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各国が新型コロナによる世界経済、及び景気の下支え策として大規模金融緩和を打ち出す”金余り相場”において米NYダウ株式市場が史上最高値の3万ドルの大台を達成するなか、BTC2万ドル台の歴史的瞬間を前に、「次こそ乗り遅れまい」とする大衆心理(FOMO)が機能した可能性が高い。
最大発行数2100万枚のビットコインは、大量増刷で希釈化する米ドルとはまさに対極に位置する。4年に1度の半減期を経てますます供給量が絞られており、市場に出回るBTC流通量は減少の一途をたどる。昨今では米上場企業や機関投資家マネーの流入が顕在化するなど、インフレヘッジとしての立ち位置を確立しつつある中で、いわゆる浮動株(コイン)の減少に対し、買い重要が上回っていることが相場を後押ししているものとみられる。
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決算業績などから純資産額や配当額、収益性、将来性などを鑑みて「適正株価(価格)」を算出する株式と異なり、ビットコインにはファンダメンタルズに基づく明確なフェアバリューが存在しないことも思惑を加速させる。BTC=20,000ドルの最高値を超えてさらに上昇した場合、上方に上値抵抗線(レジスタンスライン)は存在しない。
堅調なイーサリアム相場
26日に暴落した主要アルトの中でも一際反発が目立っているのが、時価総額2位のイーサリアム(ETH)の回復だ。
12月1日に、次世代イーサリアム2.0の初期フェーズであり心臓部と呼称される「ビーコンチェーン」の稼働を控えるなど、仮想通貨史上での歴史的な一歩を前に思惑買いが強まった。
- フェーズ0:2020年(バリデータを管理する「ビーコンチェーン/Beacon Chain」実装)
- フェーズ1:2021年(ユーザーが利用する「シャードチェーン」実装)
- フェーズ1.5:2021年(シャードチェーン・メインネット稼働、PoS移行)
- フェーズ2:2021年〜(シャードチェーンの全稼働)
イーサリアム2.0は、通貨のコンセンサスアルゴリズムが「PoW」から「PoS」へ移行するほか、DeFi(分散型金融)市場が急拡大する中で必要なネットワークの処理速度(=スケーラビリティ問題)を大幅改善するための重要なアップデートであり、dApps(分散型アプリケーション)市場などエコシステム(経済圏)の発展にも大きな影響を及ぼす。
このような状況を踏まえ、機関投資家からの関心も上昇傾向にある。
米グレイスケールは今年10月、ビットコイントラスト(GBTC)に続く金融商品として、イーサリアムトラスト(ETHE)がSEC(米証券取引委員会)の報告会社「Reporting Company」に登録されたことを発表した。
財務状況の監査結果などSECへの報告が義務づけられることから、金融商品としての信頼性向上が機関投資家の呼び水となることが期待されており、昨今のイーサリアム高騰の追い風となっている。
グレースケールが公開する運用資産データによれば、6月5日時点でイーサリアムトラスト(ETHE)は約3.4億ドルだったが、ビットコインが史上最高値付近の19,500ドルまで上昇した11月25日時点では、約15億ドルと5倍規模まで膨らむなど大口の資金流入が確認出来る。
今年6月以降のDeFi(分散型金融)相場も、イーサリアム需要を強く喚起した。
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2013年に設立されたGrayscale Investmentsは、デジタル通貨を主な投資事業とするDigital Currency Groupの子会社だ。米ニューヨークに本社を置き、ヘッジファンドやファミリーオフィス、年金、基金、適格投資家が主な顧客として含まれる。
「Grayscale Bitcoin Investment Trust」は、市場価格をベンチマークとする投資信託であり、投資対象をビットコインのみとした初の証券だ。とりわけ需要が高いのが、オープンエンド型投資信託の「グレイスケール・ビットコイン・トラスト(GBTC)」である。
グレイスケールのBTC資産は、カストディアンとしてコインベースカストディが保管しており、ビットコイントラスト(GBTC)は、さまざまな理由からビットコイン現物を直接保有できない機関投資家の需要を満たす窓口として機能する。GBTCは、1受益証券当たりのBTC保有比率が、ビットコイン市場価格に連動する投資成果を目指すものであり、仮想通貨特有の問題である「秘密鍵」などの漏洩・ハッキングリスクなどが存在しないことになることから、機関投資家を中心に需要が拡大。「プレミアム(価格乖離)」が常態的に発生している。
グレイスケールは今年4月、20年第1四半期に3億8900万ドルがビットコイントラストに投資されたとしており、「1年間の流入が初めて10億ドルを超え、機関投資家がデジタル資産へのエクスポージャーを増やしていることを示している。」と明かしていた。
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