ビットコインに上値余地はあるか?──JPモルガンが富裕層の顧客向けに資料を提供
ビットコインの上値余地
JPモルガンのプライベートバンク部門「JPMorgan Private Bank(以下、JPMorgan)」が、暗号資産(仮想通貨)に関する資料を顧客に提供したことが分かった。CoinPostの提携メディアTheBlockが入手した資料をもとに報じた。
JPMorganはこれが投資アドバイスではなく、あくまで情報提供だと説明。今回の資料で、ビットコイン(BTC)の価格にさらなる上値余地があることを示唆するデータを提示し、ビットコインをポートフォリオに加えた場合の影響も考察している。資料の提供は、プライベートバンクの主な顧客である富裕層の関心の高まりを示唆しており、注目を集めそうだ。
TheBlockが入手したこの資料は2月に準備され、先週欧州やアジアの顧客に送られたという。JPMorganは資料の中で、仮想通貨の基礎、リスク、可能性について説明した。
ビットコインの上値余地を説明した資料には「仮想通貨の価値はどのように評価されているのか」というタイトルがついている。以下がそのページだ。
このグラフは3種類の基準に基づいて、ビットコインの価値(価格)を評価している。1番左のグラフの基準は「メトカーフの法則(Metcalfe’s law)。これは「ネットワークの価値は、ユーザ数の二乗に比例する」というルールに基づいており、この基準で算出でされるビットコインの適正価格は2万1667ドル(約235万円)だとした。
真ん中のグラフはゴールド(金)の現在の価格と比較して算出した価格。ビットコインの最大供給量が2100万BTCであることを加味して求められた適正価格は54万814ドル(約5,860万円)になった。
1番右のグラフは現金とビットコインの供給量を比較して求めた適正価格だという。あくまで単純な比較だが、ビットコインの価格は190万4000ドル(約2億円)としている。
ポートフォリオの多様化
JPMorganは資料の中で、ビットコイン(BTC)は適切な割合を保てば、ポートフォリオの多様化に活用できる可能性があるとの見解を示した。
ビットコインをポートフォリオで活用できるか判断するために、米ドル、ゴールド、米株価指数のS&P500、債券との相関性を示したグラフを掲載。価格はゴールドや株と相関することもあるが、債券とはほとんど連動しないなどと説明し、「ビットコインは主要な金融資産と相関性が低い、または負の相関性を持っている」と指摘している。
そして「最近はリスク資産と価格が連動することもあるが、長期的にはそれらの資産との相関性はゼロに近づくだろう」と予想。結論として、状況に応じて割合を調整すれば、ビットコインはポートフォリオの多様化に有用な資産になり得るとした。
一方で、ゴールドのようにポートフォリオの多様化に利用できる可能性はあるが、価格変動の大きさと相関性から判断すると、安全資産とは言えないとも付け加えている。
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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します