Gucciらの高級ファッションブランド、NFT市場参入か=Vogue Business
グッチらがNFT市場参入か
グッチ(Gucci)を初めとする高級ファッションブランドが、NFT(非代替性トークン)市場へ参入する可能性があることが分かった。ファッションメディア「Vogue Business」が報じた。
現在ファッション業界は、NFTの実用的なユースケースを模索している。商品の真贋証明というユースケースでブロックチェーンに馴染みのある業界のため、参入障壁が低いとの見方があり、これからNFT市場がさらに拡大する可能性がある。
今回の報道で唯一具体的に名前が上がっているグッチは、「グッチのようなブランドがNFTをリリースするのは時間の問題」と指摘。その他にVogue Businessは複数の情報筋の話として、「多くの高級ファッションブランドが、近くNFTをリリースする計画がある」としている。
アート業界やスポーツ業界などで急速に普及が拡大しているNFTだが、特にファッション業界での活用はまだ初期段階で、NFTの発行について以下のような懸念が上がっているという。それでもファッション業界はブロックチェーンのような新しい技術に関する研究を重ね、NFTの発行に乗り出そうとしている。
- 「若い男性」が多い仮想通貨ユーザーが関心を示すか
- どのような内容になり、実用性を伴うか
- ブランドの価値が下がるのではないか
- 暗号資産(仮想通貨)ウォレットの作成が負担にならないか
新しい技術の活用等についてブランドに助言を行う「Futures Intelligence Group」のCathy Hackl最高経営責任者(CEO)は、ファッション関係のNFTは現在、アートとして販売されており、必ずしも実用性があるものではないと説明。しかし最終的には、より実用的な活用方法を実現し得ると述べている。
今後の活用事例として、5つの高級ファッションブランドとNFTのローンチに向けて協業している『Neuno』のNatalie JohnsonCEOは、「NFTを1つ購入するだけで、その服を着用している自分の写真をSNSに投稿できたり、ゲーム内のアバターにその服を着せたりして、様々な方法で活用できるようなユースケースを実現する」と主張した。
またクレジットカードでNFTを購入できるような仕組みを構築し、仮想通貨を保有しなくてはいけないという参入障壁をなくすように努めているという。
NeunoはファッションのNFTを売買、収集、着用できるようにするためのプラットフォーム。Dapper Labsが開発したFlowブロックチェーン上に構築されており、近くにローンチが予定されている。
(*追記)この報道を受け、FLOWトークンは上昇。前日比約+9%を記録している。
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環境への懸念
ファッションブランドRe-incのJenny Wang共同創業者は、NFT市場への参入で、二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガスの排出を増加させてしまうことを懸念しているという。
どうしても排出されてしまう温室効果ガスについて、排出量に見合った投資を、温室効果ガスの削減活動に行うことなどで埋め合わせる「カーボン・オフセット」を検討している。
この懸念に対してVogue Businessは、多くのNFTプラットフォームの基盤となっているイーサリアム(ETH)のブロックチェーンは、温室効果ガスの排出量を減らせるようになると説明。
ETH2.0に移行すれば、コンセンサスアルゴリズムが「Proof of Work(PoW)」から「Proof of Stake(PoS)」になり、コンピュータによる膨大な計算が不要になるため、この問題は解決できるだろうとした。
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