パナマ議員、ビットコインやイーサリアムなどの商業利用認める「仮想通貨法(草案)」提出

エルサルバドルに続いて仮想通貨法案

中南米パナマのGabriel Silva議員は6日、暗号資産(仮想通貨)やブロックチェーン技術を同国で導入・合法化するための「クリプト法」の草案を提出した。ビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)など仮想通貨の商業利用を認めるほか、銀行などの既存インフラにおけるブロックチェーン技術の導入を推進する狙いがある。

今日「Crypto Law」を紹介した。パナマを暗号資産・ブロックチェーン、そして(最先端)インターネットといったデジタル経済に対応した国にすることを目指す。

これにより、何千人もの雇用を創出し、新たな投資機会を呼び込み、政府の透明性を高める可能性が生まれる。

法案の詳細

法案では、企業や個人による仮想通貨の商業利用が法的に認められ、具体例としてビットコインやイーサリアムなどが挙げられている。

パナマ共和国に所在する自然人またはパナマ共和国で組織された法人は、法制度で禁止されていないあらゆる民事または商業活動の支払い手段として、ビットコインおよびイーサリアムを含む暗号資産(クリプトアセット)を使用することに自由に同意することができる。

Silva議員は、地元紙Telemetroに対し、「他国の類似法案とは違い、同法案は”仮想通貨の商業・決済利用を強制するものではない”」と強調。仮想通貨の利用を自由に認めるものであると説明した。

中南米諸国が仮想通貨・ビットコイン関連の法案を導入・支持する背景には、本日よりビットコイン法を施行したエルサルバドルの影響が大きい。

8月に実施した調査では、アンケートに回答したエルサルバドル市民の9割が仮想通貨を理解していないと回答。特に、ビットコインの決済受け入れを義務付ける7条に対する反対派の声も大きく、回答したエルサルバドル人の約70%が、ビットコイン法を廃止すべきだと答えた。

そのため、Silva議員が提出した法案が仮想通貨の利用を強制しない背景には、こうした声を踏まえた可能性があると言える。

関連:エルサルバドル、ビットコイン法の施行に向けて市民へ意識調査

他にも、仮想通貨による税金の支払いや公共部門におけるブロックチェーン技術の推奨、ブロックチェーンなどのデジタル技術を活用するベンチャー向けのライセンス発行などを目指す。

また、仮想通貨取引から生じるキャピタルゲインは米国などと同様、付加価値税(VAT)から控除される。

さらに、長期的にはスマートコントラクトやDAOの合法化も念頭に、政府のイノベーション局 のデジタル政策の改定を要請。デジタル住民権を発行するエストニアなどのように、身分証明書のデジタル化の一大拠点になる布石になり得るとした。

仮想通貨の紹介

また、法案では仮想通貨に対する認識について紹介する過程で、仮想通貨の犯罪利用についても言及。

ブロックチェーン分析企業チェイナリシスの統計データを基に、2020年における仮想通貨取引の2.1%のみが違法活動に利用されていたとする調査結果を引用、ドルやユーロではこの比率は2%から5%にある為、従来の資産クラスと比べて犯罪に多用されているイメージは間違っているとした。

さらに、法定通貨などの紙幣とは違い、ブロックチェーン上には取引履歴が記録として残るため、犯罪捜査において犯人の特定が従来より容易であると指摘。実際に、5月に発生したコロニアル・パイプライン社のランサムウェア攻撃事件では、FBIがブロックチェーン・スキャナーを活用して、犯人の特定に成功した事例を挙げた。

これまでの動向

Silva議員は今年6月、エルサルバドルでビットコイン法(Ley Bitcoin)が可決した際にも議会で仮想通貨関連法案を提出すると投稿し、以下のようにコメントしていた。

極めて重要な動きであり、パナマも取り残されてはならない。

(パナマが)真のテクノロジーと起業家のためのハブとなるためには、仮想通貨を支持する必要がある。我々も、議会に提出するための法案を準備している。

当初の予定では、7月中に仮想通貨法案を提出する予定だったものの、Silva議員は市民や多数の分野における専門家の協力を得て、「FATFなどの国際機関の定める重要規定」などAML(マネロン)対策を考慮しつつ法案を策定したことで提出が遅れたと説明した。

パナマに先駆け、6月にビットコインを法定通貨として認めるエルサルバドルでは9月7日、日本時間15時よりビットコイン法が施行している。

関連:エルサルバドル世界初のビットコイン購入で強気心理に拍車、FTX関連銘柄の躍進止まらず

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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します

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