労働者の給与で仮想通貨支払いを可能にする法案、ブラジルで提出事例
労働者が仮想通貨で給与を受け取れる法案
ブラジル連邦政府の副大臣で下院議員のLuizão Goulart氏は、公共部門と民間部門の労働者について、ビットコイン(BTC)などの暗号資産(仮想通貨)で給与を支払うことを可能にする法案を提出した。
法案は「労働者の報酬の一部を、任意の方法で、仮想通貨により支払うことを可能」とするもの。あくまで労働者が自由に選択できることを強調している。
仮想通貨による給与支払いは「労働者と雇用者の間の相互の合意」により行われるものであり、仮想通貨が占める割合についても、雇用者側の「強制は一切禁止」で、労働者が選択できるようにすると規定した。
ブラジルは2億人以上の人口を抱えている。もし仮に、この法案が可決された場合には、大きな国家的動きとなりそうだ。
仮想通貨の将来に期待
Goulart議員は、仮想通貨は「非中央集権的」なシステムを採用しており、「中央に存在する一人の人物や一つの団体」によってコントロールされないものであると紹介。
法案の意義について「現在のお金が持っている課題について政府や地方自治体が、解決のために協力すること」、「一般的な給与支払い方法に代替手段を提供すること」、「将来の巨大な経済市場に参与すること」を挙げている。
さらに、仮想通貨には大きな将来性があるとして、最近のニュースも取り上げた。米国のFrancis Suarezマイアミ市長、Eric Adams次期ニューヨーク市長らが、ビットコインで給与を受け取ることを宣言した事例にも触れている。
民間の事例としては、米NFL(プロアメリカンフットボールリーグ)のAaron Rodgers選手が、年俸の一部をビットコインで受け取ると発表したニュースも引用した。
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Goulart議員は、提案文書の最後を次のように締めくくっている。
(仮想通貨という)最新技術に適応し、日常生活を便利にして、あらゆる人々に良質な生活を提供するグローバル経済を構築していくことを、私たちは選択することができる。
仮想通貨投資ブームが続くブラジル
ブラジルでは仮想通貨の人気が高まっており、制度的な整備も進んでいる。ブラジル中央銀行の発表によれば、2021年の1月から8月までにブラジル居住者は、約4,880億円相当の仮想通貨を海外から取得していた。
ビットコインやイーサリアム(ETH)のETFもすでに承認されており、10月には関連事業者の登録制度や投資家保護を規定する仮想通貨規制法案も提出されている。
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ビットコインETFとは
ビットコインを投資対象に含んだ上場投資信託(Exchange Traded Fund)のこと。投資信託とは、投資家から集めたお金を1つの資金としてまとめ、株式や債券などに投資して運用される金融商品。運用成果が投資家それぞれの投資額に応じて分配される仕組みになっている。投資信託の中でもETFは証券取引所に上場しているため、株式と同様に売買ができる。
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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します