ビットコイン急落で大量ロスカット、中国企業のデフォルト懸念めぐり

仮想通貨相場の動向

日本時間4時過ぎ、中国の不動産開発大手、「中国恒大集団がデフォルト(債務不履行)した」とのFUD(fear, uncertainty, doubt)を巡り情報が拡散され、ビットコイン(BTC)が急落する場面があった。

しかし、ブルームバーグなど複数紙が報じたところによれば、10日に支払い猶予期限を迎えたドル建て社債の利払いは辛うじて実施された模様だ。

いずれにせよ、3000億ドル(約35兆円)超もの巨額負債を抱える中国恒大集団が、デフォルト危機を回避するのは難しい情勢にあり、いつ経営破綻してもおかしくはないものとみられる。

問題は、債権市場及び融資する銀行、中国内の他の不動産開発会社にどこまで深刻な影響を及ぼすかという点だろう。信用リスク拡大のほか、株式市場や暗号資産(仮想通貨)へ悪影響が波及するおそれも懸念される。

銀行への影響について、三井住友DSアセットマネジメントの分析によれば、「米格付け会社S&Pグローバル・レーティングスによると、中国の銀行総融資額のうち、恒大向けは0.3%強にとどまる。仮に恒大がデフォルトに陥っても、中国の金融システム全体が動揺する恐れは小さいと思われる。」との見方を示す一方、信用リスクの広がりについて警鐘を鳴らした。

インフレヘッジとしてのBTC

米国の消費者物価が前年同期比+6.2%の上昇を記録し、1990年11月以来、約31年ぶりの上昇率に達した。

背景には、経済活動再開・景気回復局面においてガソリンなどのエネルギー需要が急増したことに加え、サプライチェーン(供給網)の停滞もあるとされる。日本も例外ではない。ガソリン価格は9週連続の値上がりとなり、1リットルあたり169円に達した。

もしこの水準のインフレーションが続いた場合、100,000ドル(1140万円)の価値が10年後には54,800ドル(625万円)まで目減りする計算になる。フェイスブック主導のステーブルコインプロジェクトDiem(旧リブラ)やフェイスブックの国際決済部門に携わるDavid Marcus氏が指摘した。

FRB(米連邦準備制度)は、インフレ率上昇を抑制するため、コロナ禍における経済支援を優先してきた大規模金融緩和政策の段階的縮小(テーパリング)、及び金利引き上げによる金融引き締めの必要性に迫られている。

このような状況下において、最大発行枚数2100万枚に定められ、金(ゴールド)のように高い代替資産性を有するビットコインへの関心とインフレヘッジ需要が世界的に高まりつつある。米最大手取引所コインベースのアームストロングCEOは今年3月、「準備通貨(Reserve currency)としてビットコインの需要が高まる」との認識を示していた。

ステート・ストリート・コーポーレーションの資産運用部門で世界第4位の資産運用会社ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズのチーフ・ゴールドストラテジストであるGeorge Milling-Stanley氏は、「金とビットコインは共存可能」との見解を示している。

関連:米大手コインベースCEO「世界的な金利引き下げのインフレヘッジで、準備通貨としての仮想通貨需要へ」

ビットコイン相場

ビットコイン価格は11日にかけて大幅反落。 前日比-2.7%の734万円(64,100ドル)まで下落した。

BTC/USD日足

一時は過去最高値68,800ドルを付けたが、その後6,000ドル幅ほど急落した。bybtのデータによれば、24時間で清算されたロングポジションは、10月27日に次ぐ規模となる約6.8億ドル(770億円)のロスカット(強制清算)を促した。

中国恒大集団のデフォルトをめぐる日本時間深夜の一部報道(FUD)が震源地とされるが、高値追いの局面で積み上がったOI(未決済建玉)やアルトコイン市場の高騰など、特にデリバティブ(金融派生商品)市場における足元の過熱感もあり、利益確定売りが先行したところにネガティブ材料が重なった側面も否めない。

一方現時点では、24時間の清算額が過去最大級の36.8億ドル(約4050億円)に及んだ、9月上旬のフラッシュ・クラッシュ時ほど甚大な影響は確認されてない。

出典:bybt

当面不安定な相場が続く可能性もあるため、注意したい。

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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します

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