三重の大型複合リゾート施設、デジタル地域通貨「Mie-coin」導入へ
「Mie-coin」導入
三重県多気町の大型複合リゾート施設「VISON(ヴィソン)」は、3月後半にデジタル地域通貨「Mie-coin」を導入することがわかった。日本経済新聞が報じた。
同施設の運営企業であるヴィソン多気株式会社が主導し、最初は同施設内から始め、周辺の多気町、大台町、大紀町、紀北町、度会町、明和町の6つの町に利用を広げる。6つの町はAI(人工知能)やICT(情報通信技術)など先端技術の活用により、生活全般にまたがる複数の分野で住みやすい街を実現する、国の「スーパーシティ構想」の指定を目指す。
企画連動サービスも予定か
Mie-coinはスマートフォンに専用アプリをインストールすることで利用でき、VISONに設置された装置を通してアプリに入金する仕組み。アプリ利用者には割引が適用される。今春にヴィソンの温浴施設「本草湯」で多気町民が決済に利用できるようにし、今夏には物販やサービス施設、多気町などの飲食店でも使えるようにする予定。
自治体の参加も募り、他の電子マネーより手数料を安くして利用可能な店舗を増やしていくという。岐阜県の飛騨地域のデジタル地域通貨「さるぼぼコイン」や千葉県木更津市の「アクアコイン」などの導入支援を行った実績のある株式会社フィノバレーが技術面でサポートする。
さるぼぼコインは、岐阜県飛騨市が飛騨信用組合と協力し2017年12月に導入された、スマホアプリ上で利用できる地域通貨。
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上記の6つの町は、2021年4月に「三重広域連携スーパーシティ構想の実現に向けた提案書」と題した提案書を政府に提出しており、「デジタル地域経済圏分野など、生活全般に関わる8つの分野で、様々な企業の先端技術を集約し、幸福度日本一の地域づくりを目指して活動を進めていく」と述べていた。
当時の構想によれば、リリース予定のデジタル通貨の名称は「VISON-Coin」。800万人の観光客を誘致すること、地域事業者を含むVISON内の68店舗と200台の軽トラマルシェで利用可能にすることを想定していた。
また、利用を促進するために以下の企画連動サービスも予定していた。
- 地域振興券や納税など行政サービスとの連動
- 6町各店舗で活用できる「ふるさと納税」との連動
- 地域経済を活性化させる地域投資
地域通貨をめぐる動きは以前から活発に行われている。前述のフィノバレーによる「さるぼぼコイン」、「アクアコイン」や長崎県南島原市の「MINAコイン」、最近では株式会社ルーラがリリースした観光促進型地域デジタル通貨「ルーラコイン」などが存在する。
ルーラコインは、有馬温泉、飯坂温泉、伊豆下田エリアで利用でき、NFT(非代替性トークン)コンテンツの販売を見据えてポリゴン(MATIC)ブロックチェーンを活用されている。
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