BTCのアクティブアドレス10週間ぶり高水準に、ETHガス代は21年7月以来の低水準 CoinPost週次データレポート Vol.42
2月の仮想通貨動向
米金融政策判断に大きな影響を与える「CPI(米消費者物価指数)」の結果発表やウクライナ情勢緊迫化の影響で、金融マーケットが大荒れ。ビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)市場もボラティリティ(価格変動性)の拡大した1週間となった。
11日までに46,000ドル目前まで反発していたが、2月10日のCPI発表前に上昇を一服。結果発表でCPIの高止まりが確認されると、インフレ抑圧のための利上げ観測が強まったことで米国債の長期金利が上昇。金融引き締めにより過熱した景気が冷え込むリスクが嫌気され、米株指数の下落に伴い、ビットコイン(BTC)も反落した。
時価総額TOP20の騰落率
時価総額上位銘柄の週間騰落率は以下の通り。(12日時点:ステーブルコイン除く)
- シバイヌ(SHIB)+29.21%
- XRP(リップル)+23.28%
- クリプトドットコムコイン(CRO)+8.35%
- アバランチ(AVAX)+5.17%
- ライトコイン(LTC)+3.91%
関連:2015〜2020年、仮想通貨「時価総額TOP20」の顔ぶれと変化
ビットコインのオンチェーン・データ
ビットコイン(BTC)関連の注目のオンチェーンデータは以下の通り。
ライトニングネットワーク
ライトニングネットワークのノード数は12日、歴代最高の20,200に到達。過去1年間で2.3倍増加した格好だとOn-chain College氏は分析した。
ライトニングネットワーク(LN)はビットコインのレイヤー2ソリューション。オフチェーン取引を活用することで、少額決済に適している。
LNの送金容量も先日過去最高に達したばかりだった。
https://imgs.coinpost-ext.com/uploads/2022/02/lightning-networks-capacity-daily-1.png取引所預入残高
仮想通貨分析企業Santimentによれば、ビットコインの取引所預入残高は全体の供給量に対する10.87%まで低下。これは2018年12月以来の最低水準で、過去1年間で3%が取引所から出金された格好だ。
取引所預入残高とは
取引所に預入(デポジット)されている仮想通貨の総量を示す指標。取引所に入金されていない仮想通貨は即座に取引(≒売却)し難いため、同指標の低下は、売り圧力の低下を示唆する。
▶️仮想通貨用語集
BTC買い増しアドレス
また、ビットコインの買い増し(Accumulation)を続けるアドレス群のBTC保有量は、昨年11月の急落以降、19万BTC増加した。過去57ヶ月間では最高の数値を記録している。
長期保有(HODL)動向
また、On-chain College氏によれば、ビットコインの流通供給量の76.4%以上が(6ヶ月以上の)長期保有者によって保有されている状況が続くと指摘。特に6ヶ月〜12ヶ月間保有している投資家群の増加(8.8%)が顕著だと分析した。
さらに、著名アナリストのWill Clemente氏は、大口投資家の動向を以下のように総括した。
- 20年3月〜21年3月:Accumulation(買い集め)
- 21年3月〜21年7月:Distribution(売り抜け)
- 21年7月〜21年9月:Accumulation(買い集め)
- 21年9月〜22年2月:Distribution(売り抜け)
- 22年2月〜?:?
アクティブアドレスは高水準
Santimentはビットコインの日間アドレスが、先週9日から11日にかけて3日連続で100万を突破したと指摘。活発な(取引を行う)アドレスが10週間ぶりの高水準に復帰した。
投資家センチメント
またSantimentは、ウクライナとロシアを巡る軍事的緊張によるリスクオフの影響は、金融市場だけではなく、仮想通貨市場などの金融資産に幅広く波及していると指摘。12日の急落に際して、「戦争(War)」のメンション数が急増、ボラティリティが拡大したとした。
センチメント分析とは
AI(人工知能)などの機械学習モデルを利用し、ツイッター上のデータから文字情報を「ポジティブ」と「ネガティブ」に分類し、点数化する分析手法。これまでの傾向では、価格上昇に伴い楽観系ツイートが増加し、下落に伴い悲観的な投稿が増加する傾向がある。
▶️仮想通貨用語集
ボラティリティ拡大時にメンションされやすい国々
また、ここ最近では、仮想通貨市場のボラティリティが拡大した際、「ロシア、インド、エルサルバドル」の3カ国がメンションされる傾向があると指摘。過去1年間ではエルサルバドルのメンション数は、ビットコイン法定通貨法案で注目を浴びた21年6月上旬と9月上旬に急増したほか、21年秋以降からは規制面で度々話題になっているインド、地政学リスク高まるロシアのメンション数も増加している。
イーサリアムのオンチェーン・データ
イーサリアム(ETH)関連の注目のオンチェーンデータは以下の通り。
ETH2.0 ステーキング額
ステーキング額:939万ETH(前週比+8万ETH)
関連:仮想通貨ステーキングとは|初心者でもわかる「報酬」の仕組み
ガス代
Santimentによれば、ETH価格の下落と取引量減少に伴い、ETH取引手数料は300円台(2.60ドル)まで低下。ガス代の中央値は21年7月以来の低水準に達した。
イーサリアムはガス代の高騰や、トランザクションのスケーラビリティ問題が取り沙汰されており、アバランチやポルカドット、ソラナなどの「イーサリアム・キラー」に注目が集まっている。
関連:イーサリアム2.0のライバルと目される「イーサリアムキラー」とは
バーン
イーサリアムの週間バーン(焼却)量は51,326ETHを記録。前週に比べると、3万ETH程、バーン量が低下した。なお、通算バーン量は183万ETHに達した。
参照:Watchtheburn
BTC/ETHの相関性
イーサリアムのオンチェーン・アナリストのData Always氏は相場に影響を与えるイベントが発生する際のビットコインとイーサリアムの相関性に注目しているとコメント。直近のロシア政府によるビットコイン関連の発言を受けて、15日MA(移動平均)の相関性が0.8〜1.0の高水準を推移しているのは不思議ではないとした。
2020年秋の米大統領選や21年1月のゲームストップ騒動、中国のマイニング禁止令などの際には、BTC/ETHの相関性が大きく下がった。
DeFi(分散型金融)
DeFiプラットフォームのTVLは14日時点で2,019億ドル(23.3兆円)だった。
TVL(Total Value Locked)は、DeFiプロトコルへ預入れされた仮想通貨資産の総ロック額を指す。
NFT市場
大手NFTマーケットプレイスの出来高ランキングは以下の通り。依然としてLooksRareがOpenSeaを上回る状況が続いている。
また、元祖NFTコレクションのCrypto Punksは3位にランクイン。12日にはCryptoPunk #5822が歴代最高の8,000ETH(約24億円)で落札していた。
関連: 新NFT市場LooksRare、トークン分配報酬目的のウォッシュトレードで出来高急増
クリプト指標
日程 | 指標 |
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2/13 |
Mystiqueハードフォーク実施 |
2/15 |
Liquid FTX Token(FTT)とSolana(SOL)新規上場へ |
2/18 |
ロシア政府による暗号資産の新規制法案提出予定 |
前回の週次レポートはこちら:NFT市場の月間出来高は過去最高の40億ドル超、メイヤー倍数など「売り過多」示す
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関連:クリプト指標導入「CoinPostアプリ」の使い方をトレーダー目線で解説|寄稿:Bit仙人
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