1月の仮想通貨動向
1月第3週の暗号資産(仮想通貨)市場。ビットコイン(BTC)は、金融引き締め局面でリスクオフに傾く米株式市場に連れ安する場面が目立ち、約半年ぶりに4万ドル台を割り込んだ。
時価総額2位のイーサリアム(ETH)も、約半年ぶりに2,500ドルを下回るなど大幅下落している。
時価総額TOP20の騰落率
時価総額上位銘柄の週間騰落率は以下の通り。(23日時点:ステーブルコイン除く)
- ビットコイン(BTC)-15.86%
- クリプトドットコムコイン(CRO)-18.53%
- XRP(リップル)-19.28%
- テラ(LUNA)-19.74%
- ドージコイン(DOGE)-19.93%
関連:2015〜2020年、仮想通貨「時価総額TOP20」の顔ぶれと変化
ビットコインのオンチェーン・データ
ビットコイン(BTC)関連の注目のオンチェーンデータは以下の通り。
BTC難易度、過去最高に上昇
ビットコイン・ネットワークは21日、今年2回目となる難易度調整を完了。+9.32%のプラス調整を記録し、ディフィカルティは過去最高値を更新した。
難易度調整とは
過去2016ブロックで実現したブロック生成時間を基準として、算出されるハッシュレートの推定値から次回2016ブロックの生成時間10分になるように調整する仕組み。平均で2週間に1回難易度が変更される。
▶️仮想通貨用語集
#Bitcoin mining difficulty increased by +9.3% today, hitting a new ATH.
— glassnode (@glassnode) January 21, 2022
Chart: https://t.co/1cFkveEgJN pic.twitter.com/sXBgrr3SKF
ビットコイン・アドレス数、過去最多に
著名投資家のアンソニー・ポンプリアーノ氏は0.01BTC以上を保有するアドレスが過去最多になったと指摘した。
The number of Bitcoin addresses with a balance of 0.01 bitcoin or more just hit a new all-time high.
— Pomp 🌪 (@APompliano) January 21, 2022
Bitcoiners continue to stack sats, while Wall Street panic sells.
また0BTC以上を保有するアドレスも過去最高記録を更新し、4,000万アドレスを記録。この数値は2017年の高騰相場直後は一時25%減少したが、2021年5月には3%しか減少せず、10月以降から再び上昇傾向を見せていた。
New #Bitcoin All-Time High for Addresses w/ a Non-Zero Balance.
— On-Chain College (@OnChainCollege) January 21, 2022
Almost 40M addresses…
We saw a -25% dip in this metric after the '17 peak. We only saw a ~ -3% dip from Apr '21 to May '21.
After ranging for 5 months, this metric has been steadily increasing since Oct '21. pic.twitter.com/9UyA7ASrXc
メイヤー倍数は「売り過多」示す
オンチェーンアナリストのCheckmate氏は、ビットコインのメイヤー倍数が0.75まで低下していると指摘した。
メイヤー倍数は仮想通貨市場では比較的歴史の長いオンチェーン指標。ビットコインの長期的なトレンドを図るのに優れていおり、Checkmate氏は現在の0.75は歴史的に低い水準であると分析。現在のビットコインは売り過多であると考察した。
#Bitcoin Mayer Multiple, which is one of my absolute favourite metrics, has fallen to 0.75.
— _Checkmate.btc 🔑⚡🦬🌋checkonchain.com🌋 (@_Checkmatey_) January 22, 2022
Historically speaking, MM values this low have only ever occurred for 15% of Bitcoin's life.
That means 85% probability of oversold.
Keep it simple.
Live Chart: https://t.co/yP36dQq3pg pic.twitter.com/KZjDXU8l0X
メイヤー倍数とは
アナリストのTrace Mayer氏が考案したオンチェーン指標で、正式名称は「Mayer Multiple」。ビットコイン(BTC)の現在価格を200日移動平均線で割って算出する。
1.0を超えるとBTC価格がポジティブな地合い、2.4を超えると長期的な上昇が見られる傾向があるとされ、長期トレンドを図る上で有益な指標とされる。
▶️仮想通貨用語集
Jan 24, 2022: The current Mayer Multiple is 0.72 with a $BTC price of $USD 35,151.86 and a 200 day moving average of $48,712.94 USD. The @TIPMayerMultple has historically been higher 90.07% of the time with an average of 1.43. Learn more at: https://t.co/9n0xlTWuNP pic.twitter.com/v85Q7ik1Qe
— Mayer Multiple (@TIPMayerMultple) January 24, 2022
BTC投資家の損失は
一方、仮想通貨分析企業Glassnodeは、ビットコイン・アドレスのUTXOに基づいて算出された投資家の参入価格に居れば多くのBTC投資家は、実損状態にあると指摘。
現状の総損失は6億ドル(680億円)にのぼる反面、21年5月から6月時期の10億ドル(1,100億円)には達していない。
#Bitcoin investors have realised large losses during this sell-off, with net daily losses between $600M and $875M/day.
— glassnode (@glassnode) January 21, 2022
Whilst these are significant sums, they remain small relative to $1B+ losses realised during the May-June capitulation, and the deleveraging of 4-December. pic.twitter.com/Y3np3kgqgX
また、短期投資家に至っては実損状態が2ヶ月近く続いているとオンチェーン・アナリストのAlex Moskovski氏は分析。短期的な下落ムードの終わりは近いと考察した。
Bitcoin short-term holders have been taking loss for almost 2 month now.
— Lex Moskovski 🐙 (@mskvsk) January 21, 2022
But the last 4 days they've been in really intense pain.
Either this is it or the endspiel is near. pic.twitter.com/WWOktQ0g0V
過去の下落事例
なお、過去最高値(ATH)からの下落率を比較すると、2022年1月第3週のビットコイン市場はATHから-50%水準を記録。Glassnodeは、半減期サイクル別で見ると21年7月以来の大規模な下落だと指摘する。
過去最大の下落率は、仮想通貨バブル翌年の2018年12月の-83%となっている。2位は20年3月の-74%だ。
#Bitcoin is down ~50% from the November ATH, making this the second deepest drawdown in this halving cycle.
— glassnode (@glassnode) January 23, 2022
Corrections in 2017, and early-2021 were much shallower between 20% and 40%, whilst July 2021 reached a drawdown of -54%.
Live Chart: https://t.co/bglPBJAD7J pic.twitter.com/tB9U5ihpL5
グレースケールのビットコイン投信(GBTC)
また、米国の仮想通貨運用大手グレースケール社の提供するビットコイン投資信託GBTCは現物価格に対するマイナス乖離(ディスカウント)が-30%目前まで悪化。同商品は21年2月末からマイナス化が発生している。
グレースケール社は米国の適格投資家向けに仮想通貨投資商品を提供する企業。親企業に大手仮想通貨持株会社のDGC社を抱えており、21日時点での資産運用残高(AUM)は354億ドル(4兆円)にのぼる。
01/21/22 UPDATE: Net Assets Under Management, Holdings per Share, and Market Price per Share for our Investment Products.
— Grayscale (@Grayscale) January 21, 2022
Total AUM: $35.4 billion$BTC $BAT $BCH $LINK $MANA $ETH $ETC $FIL $ZEN $LTC $LPT $XLM $ZEC $UNI $AAVE $COMP $CRV $MKR $SUSHI $SNX $YFI $ADA $SOL $AMP pic.twitter.com/3PrcvCRiVn
関連:グレースケール投信の「マイナス乖離」が過去最低の-10%台に突入、ビットコイン市場に及ぼす影響とは
イーサリアムのオンチェーン・データ
イーサリアム(ETH)関連の注目のオンチェーンデータは以下の通り。
ETH2.0 ステーキング額
ETH2.0のステーキング数は900万ETHを突破した。
ステーキング額:910万ETH(前週比+13万ETH)
関連:仮想通貨ステーキングとは|初心者でもわかる「報酬」の仕組み
バーン数
イーサリアムの週間バーン(焼却)量は8.9万ETHを記録(24日時点)。累計バーン量は162万ETHに達した。(Watch the Burn参照)
DeFi(分散型金融)
DeFiプラットフォームのTVLは24日時点で2,029億ドル(23.1兆円)だった。
TVL(Total Value Locked)は、DeFiプロトコルへ預入れされた仮想通貨資産の総ロック額を指す。
NFT市場
2022年1月のNFTマーケットプレイスの月間取引量は初の40億ドル(4,500億円)を突破。先週時点では新プラットフォームLooksRareの出来高がOpenSeaを上回る事態が発生したが、24日時点ではLooksRareの出来高シェアは全体の3割にまで低下。
しかし1月第2週に設立されたプラットフォームとして既に月間取引量は166億ドル(1,900億円)を超えるなど、依然として注目度は高い。
関連:新NFT市場LooksRare、トークン分配報酬目的のウォッシュトレードで出来高急増
クリプト指標
日程 | 指標 |
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1/25 |
ビットバンクMaker(MKR)新規上場 |
1/27 |
Sologenic NFTマーケットプレイスをローンチ |
国内暗号資産取引所bitbankは19日、仮想通貨メイカー(MKR)の取り扱い開始を発表。国内では初の上場事例となる。
前回の週次レポートはこちら:短期保有者(STH)のビットコイン保有量が歴史的低水準に
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関連:クリプト指標導入「CoinPostアプリ」の使い方をトレーダー目線で解説|寄稿:Bit仙人