米SEC委員長、ビットコイン現物ETFについて見解示す
現物ETFを承認しない理由
米SEC(証券取引委員会)のGary Gensler委員長(ゲリー・ゲンスラー)は15日、暗号資産(仮想通貨)規制に関する議員らの書簡に返答。ビットコインの現物ETFについて見解を示した。
今回Gensler委員長が返答したのは、21年11月に米共和党派のTom Emmer議員とDarren Soto議員らがビットコインの現物ETFについて伺った質問状だ。
当時、10月にビットコインETF(先物ベース)が米国で初めて承認されたことを受け、何故SECは現物ETFも承認しないのか疑問を投じ、双方のETFを認め、投資家に選択肢を与えるべきと主張していた。
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SECの回答
Gensler委員長はビットコイン現物ETPとETFはそもそも別の資産がベースになっていると回答。ビットコイン現物ETPの場合は、これまでも行ってきたように証券取引法が適用されると説明した。
ETPとは
ETP(上場取引型金融商品)は、上場投資信託(ETF)、上場投資証券(ETN)、コモディティ上場投資信託(ETC)など、取引所に上場し特定の指標の値動きに連動する運用成果を目指す金融商品の総称。
現在、欧州ではさまざまな銘柄の仮想通貨ETPが取引可能。ビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)のほか、カルダノ(ADA)やXRP(リップル)、ソラナ(SOL)、ポルカドット(DOT)のETPもドイツやスイスの証券取引所に上場している。
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また、これまで通り、現物ETPを承認するためには、SECは「不正行為や市場操縦の防止」を検討する必要があるとした。
しかし、Gensler委員長は「技術的には中立」である点を再び強調。ビットコイン現物ETPに関する提案は引き続き、適切な法的な枠組みの下検討していくと語った。
書簡を提出したTom Emmer議員は「この問題は引き続き我々にとって優先的な課題である」とコメント。SECの使命である「公平で秩序のある市場の維持と資本形成の促進」を監視していくと述べた。
Gensler氏の発言
また、Gensler委員長は今週15日、米国の民主党メンバー向けの年次イベントに登壇。仮想通貨規制に関して、重点的に語ったことをCoinPost提携メディアのThe Blockが報じた。
同氏は先週末、米国で開催されたスーパーボウルで多数放映された仮想通貨関連CMを2008年時の金融危機直前に急増したサブプライムローンの急増に例えた。「サブプライムローン」の喩えに対して、仮想通貨コミュニティからの批判・反対意見が多く見られている。
さらに、仮想通貨規制については「恣意的な(法的)抜け道」は作るべきではないと言及。
同氏は「大半の仮想通貨は有価証券に該当する」として、SECの管轄に入る点を改めて主張。仮想通貨エコシステムは想定より中央集権的で、業界が宣伝するほど新しくはないと指摘した。
SECとCFTCの管轄争い
米国ではSECの他、CFTC(商品取引委員会)が仮想通貨市場における管轄争いを続けている。先週9日もCFTCのRostin Behnam委員長は米上院農業委員会の公聴会にて、仮想通貨市場は「適切に規制されていない」と発言。CFTCの執行権限拡大と予算の増額を求めていた。
また、Biden(バイデン)政権も今月中に仮想通貨規制に関する政策方針を発表する予定であることが関係筋から明らかになっており、憶測が飛び交う。
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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します