
ステーブルコイン「RUBx」をローンチへ
ロシアの国営企業ロステックは3日、今年中に暗号資産(仮想通貨)トロン(TRX)ベースのルーブル建てステーブルコインRUBxトークンを発行すると発表した。
RUBxはルーブル建ての債務によって1対1で裏付けられるものとなる。コードはGitHubのプラットフォームに掲載され、独立した企業「CertiK」による検証も行われる予定だ。
さらに、決済プラットフォーム「RT-Pay」も立ち上げる計画である。このプラットフォームは、ロシア中央銀行の要件や、マネーロンダリング対策プロトコルなど、ロシアの規制枠組みに完全に準拠して運用される。
「RT-Pay」は銀行インフラに統合され、デジタル決済や外部ウォレット、スマートコントラクトとの連携が可能になる見込みだ。
ロステックは主要運用者として、年内にこれらのシステムを立ち上げるとしている。
RUBxプロジェクトの責任者であるドミトリー・シュマエフ氏は、次のようにコメントした。
新しいプラットフォームは、経済の様々なセクターのニーズを考慮しながら段階的に導入される。特にセキュリティ問題や既存の金融インフラとの統合には細心の注意を払って行う。
将来的には、このエコシステムが多くの革新的な金融サービスの基盤となる可能性がある。
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ステーブルコインとは
価格が常に安定している(stable)仮想通貨を指す。ステーブルコインは暗号資産の一種で、BTCやETH、XRPなど変動性のある資産とは異なり、米ドルなどに裏付けられその価値を保つことが目的だ。米ドルの裏付けによるステーブルコイン(USDT・USDC)のほか、アルゴリズムを利用するステーブルコインもある。
仮想通貨で経済制裁を回避
ロステックは、ロシアの大手国営防衛コングロマリットであり、防衛・軍需産業の他、航空宇宙、電子・通信技術などをはじめ様々な分野で事業を展開している。
ロステックは、2022年のロシアによるウクライナ侵攻後、米国や欧州連合など複数の国から経済制裁の対象となっているところだ。業界関係者は、ステーブルコイン「RUBx」の発行には制裁を回避する意味もあると述べている。
制裁も背景に、ロシアの銀行や企業は仮想通貨による取引を拡大しているところだ。
たとえば、ロシア農業銀行は6月、穀物輸出取引における仮想通貨ベースの決済ソリューションを評価するため、ロシア中央銀行と協力すると発表した。
同行のイリーナ・ジャチキナ第一副総裁は、制裁によりロシアの従来型金融システムへのアクセスが制限され続けている状況において、仮想通貨は「実用的な代替手段」になると話している。
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