規制範囲を広げる修正案
米証券取引委員会(SEC)のヘスター・パース委員は、SECが1月26日に発表した規制案が、DeFi(分散型金融)の監視にもつながるとして懸念を表明した。
パース委員は、暗号資産(仮想通貨)を支持する姿勢から「クリプトママ」との愛称で知られている。
SECは先月26日、証券取引プラットフォームの規制に関する条項について、654頁に渡る修正案を発表。規制対象とする「取引所」の定義を改め、様々なプラットフォームに、新たに登録を義務付けることも盛り込んでいる。ブルームバーグによると、パース委員はこの内容について次のように指摘した。
この提案には、非常に広い範囲を対象にできる文言が含まれている。SECのゲンスラー委員長が、あらゆる仮想通貨を規制することに関心を持っていることと合わせて考えると、仮想通貨プラットフォームの規制にも適用されかねない。
今回の修正案は、DeFiプロトコルも含む、より多くの種類の取引メカニズムを規制対象とする可能性がある。
パース氏は、この修正案の手続きを進め、パブリックコメントを募集することに反対したが、ゲンスラー委員長含め、3人の委員は賛成した。
DeFi(分散型金融)とは
ブロックチェーンを活用し、中央管理者不在の状態で行われる金融サービス、またはそのシステムを指す。「Decentralized Finance」の略。DeFiで行われる金融サービスには、ステーブルコインの発行や通貨の貸出、仮想通貨取引所などがある。イーサリアムのブロックチェーンを利用しているプラットフォームが多い。
▶️仮想通貨用語集
ゲンスラー委員長は26日、修正案の内容について声明を発表。「取引所の定義に関わるルールを現在の状況にあわせて更新し、買い手と売り手を結びつけるあらゆる種類の資産プラットフォームを対象とする」としている。
「仮想通貨」という言葉は使っていないものの、修正を加える背景の一つとして、取引プラットフォームが多様化し、電子化も進んでいることを挙げた。
また、ブルームバーグによると、SECは今回の修正案について、「対象となる取引プラットフォームに登録を義務付けることで規制を行き届かせ、投資家保護を進めるもの」だとも説明している。
DeFiを注視するSEC
パース委員が指摘するように、ゲンスラー委員長は過去に、DeFiの一部も規制対象にするべきと発言していた。
21年8月、「参加者にデジタルトークンを報酬として付与したり、同様のインセンティブを与えているプロジェクトは規制対象になり得る」と述べた経緯がある。こうしたプロジェクトは、証券を規制するSECの監視対象になり得るとの認識を示した格好だ。
さらに、ブロックチェーン分析企業AnChain.AIは同月、SECと契約を結んで、DeFiの監視に協力していると発表した。このため、SECはすでにDeFiの状況をモニタリングしている可能性があると見られる。
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