JVCEA、国内の仮想通貨上場審査を大幅効率化へ 「グリーンリスト制度」など導入
上場審査を効率化
一般社団法人日本暗号資産(仮想通貨)取引業協会(JVCEA)の調査部は22日、「暗号資産の認知度向上に向けた取り組み」を公開した。特に暗号資産の新規取扱(上場)審査プロセスの改善とグリーンリスト制度の導入によって、仮想通貨審査の効率化を図る。
JVCEAの調査部は、主に「(仮想通貨取引所などの)利用者等への情報提供」と「仮想通貨関連取引に係る統計調査」を担当する部門。今回の発表内容は上記役割の一環であり、仮想通貨審査の新たな取り組みとして以下の2つを発表した。
- 審査プロセスの改善
- グリーンリスト制度の導入
同協会は以前より、日本市場に既に流通している銘柄を新たに上場する際の審査や、日本には流通していない銘柄の審査を簡略化する計画をしており、その方針が決定した格好だ。
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審査プロセスの改善
現在の仮想通貨審査プロセスは、JVCEAの会員(暗号資産取引業者など)が新規取扱いを検討する銘柄に対して、事実調査と調査結果に対する自社評価を行い、それらをまとめて協会(JVCEA)に提出して、順番に審査行われるという流れになっている。
しかしこれまでは、自社調査・評価の段階において、「自社なりの見解をだして調べていくフォーマット」となっており、「調査結果と自社評価が混在」する他、「必要な情報が見分けづらい」といった問題点が存在。会員と協会の双方に大きな負荷と時間が掛かる状況だった。
JVCEAはこれらの問題を解決するべく、これからの審査において、本邦初の仮想通貨審査を行った銘柄は他社会員による審査の結果を共有することに決定した。モジュール化された調査結果や評価を活用が可能となり、新規会員は他社会員と異なる観点や論点のみを補足・修正することで自社調査・評価を進めることができる。
この取り組みは2021年10月頃から先行して開始されており、協会側は導入後の状況を以下のように評価している。
コイン審査の高度化とプロセスの効率化が図られたことで、会員において審査水準の底上げや、観点・論点のバラつきが収れんしたほか、協会・当局においても情報確認と質疑プロセスの効率化が進んでいると考えています。
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グリーンリスト制度の導入
さらに、改善案の一環としてグリーンリスト制度の導入が発表された。
グリーンリストとは、国内会員における仮想通貨の取扱状況に基づき、以下4つの条件すべてを満たす銘柄が掲載されるリストのこと。
- 3社以上の会員企業が取扱いをしている
- 1社が取扱いを開始してから6カ月以上の期間が経過している
- その取扱いにあたって、協会が付帯条件を設定していない
- その他、協会にて本リストの対象とすることが不適当とする事由が生じていない
リストに登録された銘柄は、上場を希望する新規の会員が自社による調査・評価を行えば、協会による審査は無しで上場することができるという仕組みとなっている。ただし、モニタリングや監査において、協会の事後的な確認はある。
JVCEA側は、22年3月時点で既に18銘柄がグリーンリストへ登録されており、国内で取り扱われている銘柄の総数が50に満たない状況を踏まえると、上場審査の効率化という観点で「大きなインパクトが見込める」として説明。これまでにリストに該当する銘柄の審査に充てていたリソースを他の部分に割くことができ、審査時間の適正化が図られるとしている。
なお、条件に第3項目に記載されている「付帯状況」とは、銘柄固有のリスクが想定された場合、リスクが顕在化した際にすぐに対応できるように、あらかじめ会員側で対策方法の準備(リスク管理)をするといった条件。対ロシア制裁による影響などは、第4項目の「不適とする事由」に該当する可能性があるとして説明している。
今後の課題等
JVCEAは、仮想通貨審査における経緯とこれからを以下の表に要約。現在はフェーズ3の段階として位置づけており、「グリーンリスト制度の導入によって次のフェーズ(フェーズ4)」へ向かっていくと説明。
また同協会は、以下の3つを今後の課題として定めており、さらなる国内仮想通貨業界の活性化に向けた積極的な姿勢を見せている。
- ICO/IEO案件における開示の推進
- 国内取扱い仮想通貨のブロックチェーンエクスプローラの集約
- ブロックチェーンや国内取扱い暗号資産に係る用語の説明(Web掲示予定)
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