米コインベース、銘柄新規上場の改善策を講じる
コミュニティからの批判
米大手暗号資産(仮想通貨)取引所コインベースは29日、仮想通貨コミュニティから同社のトークン上場プロセスに関する問題点の指摘を受け、今後の改善策を発表した。
同社は上場プロセスについて(1)不明瞭な上場銘柄の選定基準と(2)上場発表を見越した資産購入という二つの問題点を指摘されたという。
ブライアン・アームストロングCEOは、同社の目標は「合法的で安全なすべての資産をリストアップすること」であり、可能な限り徹底的、かつ迅速に審査していると述べた。また、同社は「投資アドバイザーではない」ため、合法性、安全性、コンプライアンスなど最低限の上場要件を設定し、その後は市場の判断に委ねるというアプローチをとっているという。
一方、銘柄が上場の要件を満たさなくなった場合、また新たな情報が明らかになった場合には上場廃止になるものもある。
さらに技術的な面では、評価や統合が比較的簡単な資産(ERC-20トークンなど)がある一方で、新しいチェーン上の資産は技術的評価やサポートが困難であるという背景もあり、審査時間にも影響すると、アームストロング氏は説明した。
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上場前のテスト探知とインサイダー取引
コインベースへの新規上場は、トークンの値動きに大きな影響を与える可能性が高く、「コインベース効果」としても知られているほどだ。
そのため、オンチェーンデータを利用して、上場前にコインベースが行うトークンの統合テストを検出したり、コインベースのAPIのレスポンスの小さな違いを見極め、資産購入の参考にするユーザーもいるという。
アームストロング氏は、このような作業は公開データに基づいているものの、一般の顧客が容易にアクセスできるものではないとして、情報の非対称性を取り除くように努力すると述べた。
さらに、コインベースの社員がインサイダー取引や情報のリークなど、違法行為を行う可能性は常にあるが、同社はそのような行為に対しては厳しい法的措置を講じるなど、一切許容しない姿勢で臨んでいるという。
また、同社の全社員は、コインベースの取引プラットフォームのみで仮想通貨取引を行うことが義務付けられており、専用の取引監視チームにより、不正利用の可能性が監視される体制が整っているとのことだ。
今後の取り組み
コインベースは、上場プロセス改善の取り組みとして、今後次のような対策を実施する予定だという。
1. 上場決定を公表する時期を改善
- プラットフォームへの統合作業開始前に、新規銘柄の上場決定を公表する =一部のトレーダーがオンチェーンデータを利用して上場を察知するのを防ぐ
- 上場を検討している銘柄ではなく、上場が確定した銘柄を公表する
2. 新しい資産で実績の少ない銘柄には特別なラベルを表示
- 一部の銘柄に対する潜在的なリスクを周知させるため、3月に「実験的」な措置として導入済み。
3. 資産の格付けとレビューを開始
- コミュニティによる追加情報や評価の共有も可能にする=大衆の知恵を提供
- 偽アカウント・シビル攻撃の防止対策の必要性を認識
- 今年後半にベータ版を開始予定
4. 資産の適性審査能力の向上とフロントランニングの検知
- トークノミクスの調査とオンチェーン・フォレンジックツールの使用
- 不正行為が発生した資産の迅速な上場廃止
アームストロング氏は、ゆくゆくは上記のアプローチや基準をオープンソースとして業界に提供し、また他社との協力を通してベストプラクティスを開発していきたいと、上場プロセス改善への意欲を語った。
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「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します