チェイナリシス「22年のNFT総取引量は早くも5兆円迫る勢い」
断続的に成長
ブロックチェーン分析企業チェイナリシス社は5日、昨年「爆発的な成長」を遂げたNFT(非代替性トークン)市場について、2021年から今年5月1日までの取引活動を分析したレポートを発表。成長は断続的であり、活動には大きな波があると指摘した。
レポートによると、市場全体としては、NFT市場の今年に入ってからの取引量は、4ヶ月間で4兆8,373億円(370億ドル)と、昨年1年間の総計5兆2,340億円(400億ドル)に迫る勢いで、継続して成長している。
一方、月毎に見ると今年2月中旬から取引活動が大幅に減少。2月13日の1週間あたり5,100億円(39億ドル)から、3月13日には1,260億円(9.64億ドル)にまで縮小するなど、取引量には大きな変動がある。その後、4月中旬から市場は回復基調となり、年初の勢いを取り戻しつつあるようだ。
取引量の変動はあるものの、NFT市場参加者数は継続して増加している。2022年第1四半期には、前四半期から個別アドレスが32万3,000増加し、95万アドレスがNFTを売買していると、レポートは報告した。
NFTとは
「Non-Fungible Token」の略称で、代替不可能で固有の価値を持つデジタルトークンのこと。ブロックチェーンゲームの「デジタルアイテム」交換などに用いられるのみならず、高額アート作品の所有権証明や、中古販売では実現の難しかった「二次流通市場」における権利者(クリエイター)への画期的な還元手段としても注目を集める。
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市場に影響を与えた要因
NFT市場の成長率は昨年夏以降、グラフに示された「二つ大きな山」を除くと、ほぼ横ばいで緩やかに推移してきたとチェイナリシスは分析取引量を急増させた要因となったのは、(1)2021年8月下旬のMutant Ape Yacht Clubコレクションのリリースと、(2)2022年1月下旬から2月上旬にかけて、NFTマーケットプレイス「LooksRare」の立ち上げであると、考察した。
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ユーザー層の分析
チェイナリシスは、NFT取引プラットフォームへのアクセス分析から、地域ごとのユーザー数を割り出している。中央・南アジアがユーザー数でリード、北米と西ヨーロッパが続く。しかし、アクセス数で全体の40%を占める地域がないことから、同社は「NFTが世界中のユーザーを取り込んでいることを示唆している」と結論づけた。
また、レポートではNFTの取引金額から個人取引(130万円=1万ドル未満)、コレクター取引(130万円以上1,300万円未満=1万ドル〜10万ドル)、機関投資取引(1,300万円=10万ドル以上)に分類して分析。取引額から、コレクター層が取引活等の大半を占めていることがわかった。
一方、2021年10月31日の週は、機関投資家の送金が全体の73%を占めたことに言及。Bored Ape Yacht Club(BAYC)コレクションのNFTを機関投資家が複数購入したことが原因であったとチェイナリシスは説明した。その後、数週間にわたり機関投資家による売買活動が活発になり、全取引の33%を占めるようになったという。
しかし、機関投資家によるNFT取引活動も変動が大きく、一般的にNFTへの関心が低下する時期と取引量が減少する時期が、ほぼ一致していると同社は指摘。NFTに関するグーグル検索の数とNFTの取引活動に関係があるとは主張しないが、幅広い社会的関心がNFTの取引活動の増加や価格上昇につながるかを観察することは、興味深いと結んだ。
4月中旬からNFT市場が回復基調にあることについて、チェイナリシスはBAYCのメタバースプロジェクト開始が影響していると見ているようだ。
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