米下院議員、ミームコインを不正に宣伝した疑惑で調査へ

「仮想通貨を不適切に宣伝した」疑い

米下院倫理委員会は23日、共和党のマディソン・コーソーン議員が、ある暗号資産(仮想通貨)を不正に宣伝していたのではないかという疑いについて、調査を行うと発表した。

倫理委員会は公式声明で、コーソーン議員が「未公表の金銭的利害関係を有していた可能性のある仮想通貨を不適切に宣伝し、議会スタッフの一人と不適切な関係にあった」かどうかを判断するとしている。

コーソーン議員が支持していたのは「Let’s Go Brandonコイン($LGB)」と名付けられたトークンである。

なお「Let’s Go Brandon(レッツゴー・ブランドン)」は、バイデン大統領をけなすスローガンとして、バイデン政権へ反対する人々の間で合言葉として使われている状況だ。

トークンの公式サイトによると、これはアメリカ合衆国への愛国心を呼び覚ますトークンであり、「アメリカとアメリカンドリームへの支持をデジタル形式で表明することができる」ミームコインであるという。イーサリアム(ETH)ブロックチェーンのERC-20規格を使用している。

ミームコインとは

インターネット上で話題になることで人気を集めるコイン。代表的なものにイーロン・マスク氏がSNSで言及することで取引量が急増したドージコイン(DOGE)がある。2020年にドージコインを踏まえてリリースされたSHIBA INU(SHIB)も存在。

▶️仮想通貨用語集

コーソーン議員は、昨年12月下旬にインスタグラムでLet’s Go Brandonコインについて「明日、我々は月に行く!(価格が高騰するの意味)」と投稿しており、価格を吊り上げるのに協力したのではないかと疑われている格好だ。

この投稿の翌日、米国のモータースポーツ団体NASCARのドライバーが、Let’s Go Brandonコインのスポンサーになると発表されたことで同トークンが急騰した。

Let’s Go Brandonコインは一時約730億円(5億7,000万ドル)の時価総額に達した。しかし、NASCARがスポンサーシップを拒否し、インサイダーグループが、リリース直後に保有トークンをすべて売却したことが明らかになったため、すぐに価値が暴落した経緯がある。

コーソーン議員は現職議員として最年少(26歳)で、共和党の新星として注目されていたが、様々な問題行動を起こして、最近の予備選挙で敗退した。今回の件の他にも、経歴詐称や職員への罵倒などを問題視されていたところだ。

もし同議員が、NASCARがスポンサーになることを事前に知ってトークンを購入していた場合、インサイダー取引として犯罪になる可能性も指摘されている。

過去の事例

著名人と仮想通貨の関わりが問題視された事例は過去にも複数ある。

2018年には、プロボクサーのフロイド・メイウェザー氏と音楽プロデューサーDJキャレド氏が、詐欺のICO(イニシャル・コイン・オファリング)をSNSで宣伝。この際、報酬を得ていたことを開示していなかったため、米証券取引委員会(SEC)に罰金を支払った。

関連米IRS捜査官「仮想通貨やNFTに詐欺・市場操作の懸念」

また、相場に著名人の発言が影響を与えることについては、イーロン・マスク氏がよく知られている。

同氏のツイッター投稿は、ビットコイン(BTC)やドージコイン(DOGE)など仮想通貨市場にも大きな影響を与えてきた。

18年には、テスラの株式に関するツイートが問題視され、米証券取引委員会(SEC)から提訴、その後和解に至ったこともある。

関連物議を醸す、イーロン・マスクの仮想通貨関連ツイートまとめ

画像はShutterstockのライセンス許諾により使用
「仮想通貨」とは「暗号資産」のことを指します

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