詐欺や市場操作の懸念を表明
米内国歳入庁(IRS)の捜査官は25日、暗号資産(仮想通貨)やNFT(非代替性トークン)について詐欺や市場操作の懸念があると話した。今後も、この分野で捜査能力を強化していく姿勢とした。ブルームバーグが報道した。
IRS犯罪捜査部のライアン・コーナー特別捜査官は、南カリフォルニア大学グールド法科大学院が開催したオンラインイベントに登壇し、「仮想通貨セクターでの詐欺は山ほどある」と述べた。
ライアン氏は、「NFTのような本来の価値があるとは思えない資産に、人々が何百万ドルも支払うのを見ると心配になる」とも発言。悪徳業者が、犯罪で得た資金を洗浄することにも使われる恐れがあると指摘した。
また、市場操作できる状態になっているとも言及している。「著名な投資家はツイートひとつで、NFTや仮想通貨の資産価格を動かす能力を有している」と語った。
過去の該当事例
ライアン氏が指摘するように、21年にはイーロン・マスク氏のツイートにより、ビットコイン(BTC)やドージコイン(DOGE)の価格が急騰したことも知られている。
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著名人が詐欺的プロジェクトに関わった事例も稀ながら存在。18年には、プロボクサーのフロイド・メイウェザー氏と音楽プロデューサーDJキャレド氏が、詐欺のICO(イニシャル・コイン・オファリング)をSNSで宣伝。報酬を得ていたことを開示していなかったため、米証券取引委員会(SEC)に罰金を支払っている。
捜査能力をさらに強化へ
ライアン氏によると、現在IRS犯罪捜査部は、すべての捜査官に仮想通貨・NFT分野の訓練を受けさせる計画だという。
司法省など他の政府機関とも連携し情報共有しながら、犯罪を抑止していく姿勢だ。
IRSは21年11月に、年間捜査レポートを発表した。これによると、IRSは年間35億ドル(約4,000億円)相当の仮想通貨を押収。これは、IRSが一年間で差し押さえた資産の93%を占めていたという。
仮想通貨関連犯罪の増加に関して、レポートは次のように述べていた。
犯罪捜査部門は、複雑なサイバー金融犯罪を取り締まるために、仮想通貨、ブロックチェーン、オープンソースインテリジェンス(OSINT)技術の訓練と配備を優先してきた。
IRS犯罪捜査部は今年、さらにデジタル金融分野の捜査能力を強化するため、バージニア州に高度なデータセンターを設置する見込みである。
オープンソースインテリジェンス(OSINT)とは
英語で「Open Source Intelligence」の略。一般公開されている情報ソースからデータを収集、分析する活動である。サイバー攻撃を行うグループの特定に使われることもある。
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